【第五人格】絵描きは占い師を描きたい！【イライ・クラーク】 (ページ26)

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▽慣れた傷ページ26

「本当に大丈夫なのね？」

『はい、自分で出来ますから
できれば出て行って欲しいんです』

「…わかったわ」

薬の匂いが飛び交い、鼻にあの苦手なすーっとする香りがする。

消毒とか、色々が混ざり合った匂いに鼻が麻痺しそうだ。

試合が終わり、エミリーの部屋に速攻で連れてこられて、

治療をすると言われてから驚いて急いでやめさせた。

流石にこの傷は見せられないし、見られたくないんだ。

出来るだけ、既存の包帯を外さないように、

体を包帯やらなんやらで包容していく。

頭から血も出ていたし、ここは包帯を取り替えるだけでいいや。

なんて、さっさと終わるようにテキパキと作業をしていれば、

突然ドアが開く音がした。

『エミリーさん、俺まだいいって言ってな…』

「…あ、す…すいません！」

向いた方向にいたのは幸運児。

正式名はない人だ、確かチュートリアルで手に入る奴。

「エミリーさんから…その…
やっぱり不安だから監視しておいてって言われて…」

目をそらし、手で顔を隠す幸運児をみては、

一つ大きなため息を吐いた。

顔を隠しているのは多分、俺が上の服を着ておらず、

体のほとんどが包帯巻きだからだろうか。

『いいよ、どうせもう包帯は巻き終わったんだ
それに俺の体なんて普通に直視してもらって構わない、
大して女らしいからでもないんだからな』

「…流石にそれはダメです！」

急に大きな声を出す幸運児に驚き、

手に持っていたペストマスクを地面に落とした。

幸運児の方を見ればまっすぐこちらを見つめ、

随分と真剣な顔で俺を見ている。

「それでも貴方は女の子なんです！だから…
例え冗談だとしてもそんなこと言わないでください！

貴方の体なんだ！もっと大切にして…って、あ」

『…急に叫ぶなよ、びっくりするなぁ』

突然叫んで、突然叫ぶことをやめる幸運児を見ると、

顔を真っ赤にさせてすぐ顔を隠した。

「ご、ごめんなさい！見ちゃって！」

『……あー、うん
まぁいいんじゃない、別に気にしてないし』

体を大切に…か、

親にも言われたな。

別に大切にしたくないわけではないんだが。