そして、彼は考えるのをやめました。30

Episode1435 ページ22

✿


「大きな目、出しちゃダメよ」



「しょ、承知したでござる…。


では」



ドロロがすごろくのルーレットを回す。

なんとか大きなマスは出ないようにしてくれと、
リビングでの 空気は重々しく感じられた。

そして、ドロロが出したのは『1』だった。



「やった！1でござる！では…1マスっと…。
何何？『ワームホールを発見し無事地球へ帰還』」



「クックック〜！上がっちまったぜェ」



「「えぇ！？」」



「…何このマス」



そもそも、何故1が出たぐらいでいきなりゴールに行くのだろうか。
ゲームなので敢えてツッコまない方が良さそうだ。



「ドロロくぅん…」



「ご、ごめん！ごめんよぉ！」



ケロロは悲しそうな顔でドロロを見ると、
ドロロは後ろに下がって何度も土下座した。

ギララ以外の全員は冷や汗を垂らしながら、
753さんを一斉に目を向ける。



「ほほーほほー！」



「…っ！かなりご立腹の様子です！」



「はーっはっは！」



先に上がられてしまったことが許せなかったのか、
753さんの怒りは収まるどころか、更に悪化してしまった。

________



「はぁ…えぇ匂いや。
美味しいもんお腹いっぱい食べたら
753さんも和んでくれるに違いあらへん！」



「はい！卵どうぞ！」



すごろくの次はすき焼きパーティになり、
空気はやはり先程と同じように重々しがった。

753さんはチロロから既に割った卵を貰う。



「で、では…頂くとしますか…」



「じゃ、じゃあ…」



［豆腐！］



「ふぬぅ！」



［白滝！］



「ニン！」



［ネギ！］



［春菊！］



ギロロは豆腐、タママは白滝、ドロロはネギ、
クルルは春菊と誰も肉を取らなかった。
否、そんな事をしてしまっては、
また753さんを怒らせてしまうのだから。



「(なんて緊迫したすき焼きなんだ…)」



「皆、お肉には手を付けないように注意を払ってる…」



「753さんに食べてもらおうとしているのね…」



こんな緊張感漂うすき焼きパーティが行われているのは、
地球上で恐らくこの家だけだろう。



「ほーっほっほっ！」



「？どないした？ささ！遠慮なく召し上がってや！」



「ほーほほーほー！」



「「「？」」」



カララがすき焼きを食べるように言っても、
753さんは不機嫌そうに笑うだけで、
すき焼きの肉すらも手を出さなかった。

それを見たリビングにいた全員は頭に疑問符を浮かべていた。



「殻が！卵の殻が入っていると…」



［殻！？］

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