ファシネイティングワールド - 1 - 【完】 (ページ7)

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――――――…が。

こんな風に、ピンチの時に誰かが助けにきてくれるなんてそんなの所詮ドラマや小説だけの話。

人間は妄想好きだ。

そして夢見がち。

頭の中で自分の都合のいいように物事を進めていく。

そして気付く。

夢と現実の違い。

２次元の世界に憧れそれを自分に重ねたところで、現実は残酷なまでに期待を裏切り希望を殺していく。

そうやって現実に直面した時に、また気付くんだ。

……人生なんて、こんなものだと。

「………」

じょきん、と。先輩達は私の胸下まであった髪の毛を切った。

なんの躊躇もなしに。

ゲラゲラと下品に笑いながら。

「前から目障りだったんだよね、この赤髪」

先輩の手からはらはらとこぼれ落ちた私の髪が、床に染まった血と混ざる。

殴られ過ぎた所為か、うっすらとしか開かなくなった瞳の先にそれを映しながら―――――――ぷつり。何かがキレる音を聞いた。

「……ざ……ん…な」

ふざけんな。ふざけんな。私が何をしたっていうんだ。

何もしてないのにボコられて、髪の毛切られて。

……私はこの時、はじめて恐怖より怒りが勝った。

「あ？なんか言った？」

「……んな」

「あ？！」

「ふざけんな！……いで下さい。ごめんなさい」

だけど悲しいかな。

所詮ヘタレな私は途中でビビり、睨むなんて芸当も出来ないまま俯いてしまった。

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