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口から出たのは素朴な疑問。
相沢謙吾は何も言わなくなった。
何か気に触る事を言ってしまったのかと一人わたわたした私は、とりあえず「ごめんなさい」と謝ろうとした。瞬間。
――――…キキー、と。ちょうど交差点の信号につかまり、バイクは停車した。
少しの間ではあるが静まるエンジン音。
と、くるり。相沢謙吾が肩越しに振り返り、フルフェイスのヘルメットを被っている為目元だけしか見えないメット越しに、不敵に笑った。
「それは、俺がイケナイ子だからじゃん？」
……囁くように与えられた言葉にぞくりと背筋が凍る。この男は、吐く声色さえも冷たいのか。
何を言ったらいいか分からない私は声を失っていた。
すると相沢謙吾はそんな私を数秒見届けた後、蜂蜜のような甘くトロリとした声色で、
「なんて、ね」
からかうようにそう言って、青になった信号を確認すると再びバイクを走らせた。
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作者名：夢乃 | 作成日時：2014年9月12日 20時
