検索窓
今日:3 hit、昨日:2 hit、合計:13,917 hit

20 ページ34

.






……でも、違う。


いや、姿形は間違いなくあの男なんだけど、以前と身に纏った空気がまるで別人だった。



可愛さなんて微塵もない。


体を押し潰すほどの圧倒的な威圧感は、先輩や周りにいる族の人とは桁が違う。



くりくりだった目を細めたその瞳も、


「聞いてんだけど。誰に許可取って暴れてんの?この天下のワールドで」


ゾッとする低い声も、全てが黒い。この夜空よりも、どこまでも暗い。



「ケ、ケンさん…」

「消えなよ。目障り」

「……すみません」



あんなにいた族の人達は、男の一言で一斉にこの場から離れていく。


私は何がなんだか分からないまま。

この男の正体にこれ以上ない疑念を抱えたまま、寝っころがった体を起こす事も出来ないでいた。


と。



「ちょっと、行くよ!!」

「キャッ!!」



……この先輩は、私を痛め付ける天才なのか。
短くなった髪の毛を引っ張られ無理矢理立たされた。



気付けば周りには数える程度の人しか残ってない。


先輩は私の髪を鷲掴みにしたたま、ここに連れてきた車の中へと再び引き摺り込もうとした。



「ぁ……」



その時。トイレで赤いパーカーを被せてくれた―――――――相沢謙吾と名乗っていた男の、漆黒の瞳と視線が絡んだ。



.

21→←19



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.8/10 (21 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
9人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:夢乃 | 作成日時:2014年9月12日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。