ファシネイティングワールド - 1 - 【完】 (ページ28)

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(まてよ……)

今からそのタイガって人に会いに行くなら、その人から私とは関係ないって言ってもらえばいいんじゃないのかな。

どうせこの先輩は私の言う事なんて聞かないし……

とりあえず行って、誤解を解いてもらって、それですぐ帰れば………

「ってかさ、本当に今日の集まりってファシネイティングワールドでやるの？」

うん、そうだ。

１人納得してた私は周りの会話なんて聞いてなかった。

「ヤバいんじゃないの？あそこはオガさんの……」

「大丈夫だよ。オガさんは今この街から出てるみたいだし」

いや、正確に言えば聞こえてたけど、私には訳の分からない話だったので聞き流していた。

……思い返すと、この時の自分を呪いたい。

ヘタレな上に馬鹿で鈍感な私は、先輩達が着ている裾の長いマントのような服が所謂特攻服だと気付かなかった。

ある国道沿いに入った瞬間、明らかに行き交う車の数が減った事にも気付かなかった。

……気付いた時には、遅かった。

すっかり夜の色に染まった世界を照らす無数のヘッドライト。

鳴り響く騒音。

お世辞にも優等生とは言えぬ人々がバイクに股がったり、道路を徘徊してる姿。

そして掲げられた旗に大きく書かれた“堕天使”の文字。

(う……そ…)

暴走族――――…この単語が頭の中を駆け巡った瞬間、どくん、と。比喩でもなんでもなく心臓が体内で暴れ狂った。

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