ファシネイティングワールド - 1 - 【完】 (ページ27)

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………タイガ？

聞いた事のあるそれに眉根が寄る。

そして必死に記憶を巻き戻していくうちに―――――――――(あ！)。そういえばボコられた時、タイガさんに手を出したとかどうとか言ってた気がする。

私はそんな人知らないのに、なんでかそう言われた気がする！

「あ、あの！」

だから私はなけなしの勇気を振り絞って先輩を見据え、そんな人知らないですと言おうとした。

誤解ですって訴えようとした。

「タイガさんに会って、あんたがどれだけ身の程知らずだったか思い知らせてあげる」

なのにそれは、先輩と声が重なった事で呆気なく消されていった。

「あの、違…！」

「あんたはただ黙ってついて来ればいいのよ」

私のテンポが遅いのか、それとも先輩のテンポが早いのか。全く話が噛み合わない。

慌てふためく私を馬鹿にするかのように車はどんどん加速していき、窓の外は見た事ない景色で溢れていた

「ちょっ…！」

どうしよう。どうしよう。黙ってろって言われたけど、やっぱり否定はしなきゃ。

そう思い口を開いて――――…

「……」

ゆっくりと、閉じた。

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