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「これ升揚(しょうよう)高校の制服だよね?何年生?ちなみに俺は辻高の2年生〜」
隣の高校かよ。しかも2年とか、年上かよ。見えない。
「お名前は?あ、俺は相沢謙吾。皆にはケンって呼ばれてる〜」
知らないし。本当なんなんだこいつは。
人の顔を凝視しながら笑い続ける男に唖然とする。と、男は「白目剥いてるよ?」なんて。更に大笑いし出した。
……うん、やっぱりこいつ変人だ。
「あの……」
「ギャハハハ、ハ、あ、何〜?」
「…帰りたいんですけど」
こんな頭のネジが外れたKY野郎とこれ以上関わらない方がいいと危険信号を送った脳は、この場から去る事を選んだ。
何がツボだったのか、目の縁に涙を溜めた男は「ヒー、ヒー、」と引き笑いしながら私の頭に乗せていた手を退かす。
よし、この隙に。
今度こそ立ち上がろうと片膝を立てた。
と。
「――――…立てないでしょ?」
まるで予知してたかのように。
足から全身に激しい痺れと痛みが走り崩れ落ちた私に、男が八重歯を覗かせてニコッと笑う。
「こんなボロボロなのに、一人で帰ろうなんて無理だよ」
「っ――!!!」
痛い。痛い筈なのに、苦しい。
怪我のひとつひとつが意思を持ってるかのように皮膚を突き破り肉を抉る。自分の体じゃないよう、体が鉛のように重い。
「あ、気失いそう?」
「……」
「だよねー。むしろ殴られてる時に失えば良かったのに。そうすれば痛む時間減ったのに〜」
「……」
「ねぇ、」
「……」
「………助けてあげようか?」
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作者名:夢乃 | 作成日時:2014年9月12日 20時