29 月光のスポットライト ページ31
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真夜中、静かに窓を開けた
庭園から私の部屋に迷い込んできた夜風にくすぐられながら今日のゲームを思い出す
「…どうして、ノートンさんは私を試すようなことをしたんだろう…」
まるで、私の反応をからかうような言動
…まるで、
「まるで、…好きな子をいじめるみたいに…
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「好きな子が、なんだって?」
私は驚き、窓から身を乗り出し声の聞こえる方へ顔を向ける
「イライさん!?」
イライは木の幹に腰掛けながら、私の方を見た
「驚かせてしまってすまない。今日は君の護衛だからね…。」
「ずっとそこにいたんですか?」
外は風に当たると少し肌寒く感じる気温だ
Aは心配そうにイライを見る
「そうだね。部屋の入り口でもいいんだけど、今日は月が綺麗だから…」
イライは言い終えると空を見上げた
「私も、今日の夜風は特に気持ちよくて…星もよく見えますし。」
つられて空を見上げる
この世の穢れを一掃してくれそうな優しい月光に思わずふと寂しさを感じる
「この月を見たら思い出すんだ。」
イライは私の自室の窓の柵に飛び移り、そこへ腰掛けながらつぶやいた
「君の事。」
「わたし…?」
私は驚いて自分を指差す
「君はきっと、控えめな性格だろう?…でも、芯の強さを感じるんだ。
今日のゲームだって、自ら志願した。『僕達に頼ってばかりはいられない』って…
君の命に関わる選択肢かもしれないのに。」
「でも、結局何もわからなかったんです。それに…
…
・
私は怖かったんだ。
私のせいで荘園に住む誰かが危険な目に合うのが。
早く解決しないと、私だけじゃなく周りにも実害が与えられるかもしれない。
…そう考えると、胸の奥が締め付けられる
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・
「…君っていう人は。
…いいかい?僕達はもう君と親しい仲なんだ。頼っていいに決まっている。」
イライは柵から手を伸ばし、私の身体をふわっと魔法のように軽々と持ち上げ自身の上へと乗せた。
「そんな君も好きだ。だが、もっとわがままな君も好きだ。
もっと僕達を求めて。」
イライは微笑み私の頰を撫でる
「…私も、皆のこと大好きだから、もっと強くなるね…?」
照れ隠しのような強がりに、イライは気づいたが微笑むだけだった
月光は私達だけの特別なスポットライトを用意してくれているようだった
…まるで、2人だけの世界
私の心が全身で息をするように主張を強める
なぜ、私は彼から目が離せないのだろうか。
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あまね(プロフ) - めちゃくちゃ好きです😭 (4月27日 16時) (レス) @page48 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
ちび(プロフ) - 続きが気になります (1月8日 8時) (レス) @page45 id: 8dd546cbdc (このIDを非表示/違反報告)
おかさん(プロフ) - 今更ではありますが、更新、楽しみに待ってます… (2022年10月20日 5時) (レス) id: 48fcbe9d4c (このIDを非表示/違反報告)
めぐ(プロフ) - アリスさん» 作者さんでもないのに横からすいません。その文を見た時にドキッとしてしまいました...確かに私たちが楽しんで読み進めれば主人公はその分酷い目にあう。そんな発想はなかったのでまた違う面白さが見えてきました!ありがとうございます (2019年12月14日 0時) (レス) id: 31f2218efb (このIDを非表示/違反報告)
アリス - 初コメ失礼します。個人の感想ですが、何かこの作品を読んでいると犯人は私たち読者?と思いました。主人公は刺激を求めて、私たちはドキドキを求めるみたいな。この作品は私たちが楽しめば楽しむ分だけ主人公に色々な出来事が起こると思いました。変な文ですみません。 (2019年9月25日 2時) (レス) id: cf8111877c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽむちゃん | 作成日時:2019年7月4日 19時