2 小さな陽だまり ページ3
・
コツ…コツ…
遠くから軽い足音が聞こえ、緊張と恐怖で身体が硬直する。
身体を起こすのを止め、とりあえず寝たふりをすることにした。
背後の近くで足音がとまり、見えはしないが背中に痛いほど視線を感じる。
心臓が鳴り止まない。
(寝たふりしたのはいいものの…)
背中にそっと指が触れ、思わずビクッと体を揺らす
「…意識はあるみたいね。ごめんなさい、驚かせてしまったかしら？」
恐る恐る顔を上げると、そこには物腰の柔らかそうなナースキャップを被った女性がしゃがみこみ、こちらを見ていた。
「あの……、私、怪しいものではなくてっ…気づいたらここに……」
ｰｰｰｰｰｰー気づいたらここに？
思わず笑ってしまいそうになった。
こんな嘘みたいな言い訳、誰が信じてくれるのだろうか。
「…泣かないで。とりあえず、あなたの脚を治療させてくれるかしら」
そういって彼女は、知らず知らずのうちに溢れていた涙を優しく指でぬぐった。
完全に脳はパニッを起こしていた
「あのっ…ここは…」
どこ？と聞く前に安心感から泣きじゃくってしまい、上手く言葉が出ない
「私のことは、エミリーって呼んで。あなたのことは、後で教えてもらってもいいかしら？…とりあえず、その脚の治療を。」
脚を見てみると、勢いよく寝返りを打った時にやってしまったのか、深い切り傷から結構な量で出血していた
アドレナリンで痛みを忘れるとは、まさにこういうことか
・
「エミリーさん、僕が運びましょう。」
エミリーの背後から目を隠したフードの男性が歩いてきた。
「多くを語らなくていい。今不安なことも、話したいことが沢山あることも、僕は知っているよ。A」
そう言って、喋ろうとした私の唇に指を押し当てた。
「今は、怪我の治療が先決だね。」
急に目線が高くなり
「まっ…待って！これ……」
思わず声を上げてしまった。
まさか、俗に言うお姫様抱っこをされるとは思っていなかった。
「知らない男にこうされるのは嫌だとは思うけど、少し我慢してくれるかな？」
こくこくと勢いよく頷く私に、優しくイライは微笑みかけた。
目の様子は見えないが、話し方で優しそうな人だということはわかる。
服の上から伝わる体温や、私の背中と脚をしっかり包み込むたくましい腕、陽だまりのようなにおい…
今は、何も考えるのやめよう。
泣き疲れて、彼の腕の中で眠りについた。
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ちび(プロフ) - 続きが気になります (1月8日 8時) (
レス) @page45 id: 8dd546cbdc (このIDを非表示/違反報告)
おかさん(プロフ) - 今更ではありますが、更新、楽しみに待ってます… (2022年10月20日 5時) (レス) id: 48fcbe9d4c (このIDを非表示/違反報告)
めぐ(プロフ) - アリスさん» 作者さんでもないのに横からすいません。その文を見た時にドキッとしてしまいました...確かに私たちが楽しんで読み進めれば主人公はその分酷い目にあう。そんな発想はなかったのでまた違う面白さが見えてきました！ありがとうございます (2019年12月14日 0時) (レス) id: 31f2218efb (このIDを非表示/違反報告)
アリス - 初コメ失礼します。個人の感想ですが、何かこの作品を読んでいると犯人は私たち読者？と思いました。主人公は刺激を求めて、私たちはドキドキを求めるみたいな。この作品は私たちが楽しめば楽しむ分だけ主人公に色々な出来事が起こると思いました。変な文ですみません。 (2019年9月25日 2時) (レス) id: cf8111877c (このIDを非表示/違反報告)
桃雪 - すごい面白いです.......！ナワーブくんもイライ君も皆、かっこいいです...更新、楽しみにしてます！ (2019年8月21日 16時) (レス) id: 8a17dfcf71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽむちゃん | 作成日時：2019年7月4日 19時
