赤く染まらないハートの女王【僕のヒーローアカデミア】【男主】 (ページ9)

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☆番外編まさしく、怠惰ページ9

Aは寝起きがすこぶる悪い。が、決して暴力に訴えたりすることはない。できる限り動きたくないため、ただ無言で威圧するだけだ。

どんだけ怠惰なんだ。

トランプヒーロー“ハートオブクイーン”なんて名前やめて、怠惰ヒーローにでも改名しろよ。トランプ要素スーツ以外にないんだし。

赤く染まらないハートの女王とも呼ばれてるらしいけど。

「あと五時間くらい寝かせろよ……」

「それ昼になるからな？」

余裕で遅刻だよ。

「ほら、起きろ」

「ヒーローというのはなんて残酷なんだ……」

「寝言を起きてまで言うな」

「腕引っ張れ」

微妙に語尾がキツくなるのも寝起きの特徴だ。機嫌悪いな、子供か。

腕を引っ張って起こし、頭を撫でてから服を投げつけて、朝ごはんの支度へ向かう。……いつまでも裸でいられると目の毒だ。

格好よすぎて無理。

＊

Aは文字を打つのが大変面倒くさいらしく、何かあるとすぐに電話してくる。

その電話すら面倒くさいらしく、好き勝手にカップそば食ったりしている。報連相を大事にしないやつだ。

『焦凍……お前の元同級生が来ているんだが、どうすりゃいい？』

「……そうか。俺も知らなかった、悪い。適当にお茶でも出してくれ、もうすぐ帰るから」

『分かった。お茶とやかんと急須の場所を教えておく』

「自分で淹れろよ!?」

家に入れただけでもよしとするか……いやいや、甘やかしすぎだ。あとで叱って……も意味ないしもういいか。

『めんどくさいから、早く帰ってきて……』

「はいはい」

全く、この怠惰め。