愛は愛で返された ページ5
「……話って？」
珍しく真面目な顔をした赤死が横に座る。ソファに二人とも揃うのはいつぶりだろう。
「……赤死は、俺のことを恋愛的な意味で好きか？」
遠回しで、直接的な問いだ。赤死の顔をマトモに見ることができない。赤死の回答は早かった。
「大好きだ」
「……そう、か」
それに、安心して膝の上で拳を握りしめる。頬に熱が集まった。
言え。言うんだ、俺。
「俺もお前が好きだ。……好きなんだ。よければ俺と、んっ!?」
付き合ってくれと言いたかったが、それは赤死が頬を両手で包んだせいで言えなかった。顔を動かされ、赤死から目を逸らすことは許されない。
頬からそっと手を離し、
「付き合ってくれないか、焦凍。ずっと前から好きだ」
ただ無言で頷いた。赤死が、情けない顔で嬉しそうに笑う。
「ずるいぞ、赤死」
「俺が言いたかったんだよ……」
肩を軽く押され、ソファに倒される。頭をぶつける寸前で支えられ、その些細な気遣いにすら惹かれていく。
こういうのを、好きと言うのだと感じる。
「じゃあ、もういいんだよな？」
ネクタイを緩め、唇を重ねてくる。柔らかくて、しっとりと濡れている。とてもとても、心地良い。
頬を柔らかく包み、額や鼻筋、瞼など様々な場所にキスをされる。気恥ずかしいと思った。
唐突に、赤死の手から力が抜ける。
「赤死……？」
「……好きだ、焦凍。今日は、悪い……無理……」
「……え、あ……」
「仕事、急いで終わらせてきた……無理……限界……」
「嘘だろ!?」
赤死はそのまま俺の上に倒れて、遅れて寝息が聞こえてきた。
え……ええ……？
「……まぁ、いいか」
こんなぐだぐだなのも俺達らしくて、悪くない。
気持ち良さそうに眠る赤死を撫でながら、これからくるだろう幸福に思いを馳せた。
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作者名：紅葉蓮 | 作成日時：2017年3月15日 23時
