恋に気づいた瞬間だった ページ3
何度体験したとて、決して慣れるはずもないだろうその感覚。一部にしか彼の個性は知られていないが、知られていても対策できる類いのものではない。
「仕事したし……帰る……」
「いやいやいや。行くぞほら」
「一仕事やったぞ……？ 誉めてくれてもいいじゃないか」
「はい偉い偉い。もう少し頑張ろうねー」
棒読みで言ってやると、
「人を苛立たせる天才だなお前」
「どっちがだ！」
赤死にだけは言われたくない。マジで言われたくない。
──結局その日、
＊
「焦凍は将来いい嫁になるよな……だから俺の嫁にな──」
「らない」
「俺の告白を遮るとはいい度胸だな……」
ごろごろと一番楽な姿勢を模索しながら、赤死はソファから俺を見上げる。
もはや定番となっている、俺の家のソファの乗っとりだ。
赤死は自分の家に帰ることは少なく、よく俺の家で寝泊まりしている。俺の家の方が近い上に、食事つきだからとか言ってた。ふざけんな。
だが、またカップ麺ばかり食べられても困るし、二人きりの時間は嫌いではないので、好きにさせている。
なぜか痛む心を無視し、
「お前の告白は聞きあきた。どうせ冗談だろ」
「……冗談じゃなかったとしたら？」
ふと真剣な声音で言われ、ドキリと心臓が高鳴った。ソファから手を伸ばされ、思いっきり引き寄せられる。
意外とがっしりしている体に受け止められ、不覚にも鼓動が早まる。
このままではダメだ、と直感的に思い、手を振りほどいて立ち上がる。
「……夕食やらねーぞ」
「それは困る……」
頬に集まる熱はきっと気のせいであろうし、先までの鼓動の早さも気の迷いだ、そうに違いない。
そう思おうとしても、どうしてもさっき抱き締められた感覚が消えなかった。
ラッキーアイテム
革ベルト
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 31人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「轟焦凍」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紅葉蓮 | 作成日時：2017年3月15日 23時
