赤く染まらないハートの女王【僕のヒーローアカデミア】【男主】 (ページ2)

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個性、“ハートオブクイーン” ページ2

きょとんとする赤死。整っているその顔は何となく可愛いが……。可愛いからって許されるわけじゃないからな？

事務所内から出て、人通りの多い道を歩き始める。

「それに俺よりお前の方がため息ついてるだろ……」

「いや、あれは深呼吸だ」

「あんな憂鬱そうな深呼吸あるか！」

「そうカッカするなよ、めんどくせ」

人を苛立たせる天才かこいつは。

本日二度目となるため息をつくと、

「おい、あれ」

何かに気づいたのか、袖を引っ張られる。

すぐに、目の前にいる敵(ヴィラン)の存在に気がついた。

「ふははは！この家族の命が惜しければ追いかけてくるな！」

「くそっ……」

「誰か助けて！」

個性でそうしたのであろう拳銃のような腕を使い、人質を脅しながら敵(ヴィラン)がこちらに駆けてくる。これは、俺の個性よりも赤死の個性の方がいいだろう。

「赤死」

「任せろ」

赤死が敵(ヴィラン)の頭に照準を合わせるように指を向ける。

「その者の首を跳ねよ！」

すかさず俺が氷で敵(ヴィラン)の拳銃を凍らせ、動きを止める。その際、他のヒーローが人質を回収する。

「俺、俺は……し、死んでねぇのか……？」

困惑している敵(ヴィラン)は連行される。その困惑の原因である赤死は、のんびりとあくびをしていた。

……赤死の個性は、つまりはそういう個性だ。『首を跳ねよ』という、まるでハートの女王のような言葉を、指によって照準を合わせて言えば、“死の錯覚”が起きる。

首が跳ね、死んだと錯覚するのだ。

俺も一回体験してしまったが、あれは本当に恐ろしい。あまりにもリアル過ぎて、自分が生きているのかさえ分からなくなるほどだった。

本当は呟いたり照準を合わせなくても個性の発動はできるが、こちらの方が調整が効くらしい。