ヒーロー活動＜安眠枕 ページ1
「俺は、思うんだよ」
真剣に、彼は俺に言った。
「ヒーロー活動よりも、優先すべき事項があるんじゃないかって」
その顔はどこか格好よく、男の俺でも何かを感じざるを得ない。
「というわけで、安眠枕買って来る」
「いやちょっと待て」
「止めるな、焦凍……男にはやらなければいけないことがあるんだ」
「少なくともそれは安眠枕を買うことじゃねぇ！」
「な……この世に安眠枕以上に大切なものなんかあるのか？」
「ある！ 少なくとも安眠枕が世界で一番でたまるか！」
「……めんどくせ」
めんどくさいのはどっちだか。本人とは対照的に、情熱そのものかのように赤い髪の毛をいじるそいつを見る。
夜の帳を思わせる艶やかな瞳が俺を写した。
悪魔に愛されたのかと思うほどに整った顔立ちをしており、身長は百六十前半程度だ。
トランプ模様が散らされたスーツは、きっとこいつ以外に似合うやつはいないだろう。
彼は
そんな彼も今は拗ねたように俺を見上げながら体操座りをしている。子供か。
「ほら、パトロール行くぞ」
「歩きたくない……おんぶ」
「誰がするか」
「ちっ」
腕に掴まり、緩慢な動作で立ち上がる。ついてこないと困るので、今度は俺が彼の腕を掴む。
「行くぞ、赤死」
「ん……」
あくびをしながら呑気に赤死はノロノロ歩き出す。……おんぶした方が楽なんじゃ、いやいやダメだ、甘やかしてはいけない。
「俺はあれだ……あれだぞ。年寄りなんだから労ってくれてもいいじゃないか」
「お前、俺と同い年だろうが……はぁ」
「ため息つくと幸せ逃げるぞ？」
「犯人お前だよ！」
ラッキーアイテム
革ベルト
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作者名：紅葉蓮 | 作成日時：2017年3月15日 23時
