二重人格構成員【文豪ストレイドッグス】 (ページ5)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:12,976 hit

琵琶は二重人格ページ5

「と云うか、態々中原中也さんが行く必要が有るのですか。俺だけなら兎も角」
「手前は一人で行動出来んのか？」
「……出来ませんね。暴走したら止めて呉れる人が居ないと……あ、だから中原中也さんですか、監視役ですね」
「別に其れだけじゃねェだろ」

琵琶を呆れた様に睨む中原だったが、身長差のせいで上目遣いになって了うのが残念な処だった。

「江戸川Aさんで善くないですか？不死身ですよ。最下級でも迚も強いですし」
「彼奴の強さは知っているが……絶対に止めないぞ？お前の事」
「あ。そうですね……あの人はなあ……」

江戸川は異能の効果で不死身となってはいるが、基本的に天真爛漫の無気力なので、琵琶の制止は出来ない。というよりはしない。

出世できない原因たる琵琶のもう一つの人格は、今の琵琶の意思など全く配慮せず、敵を全滅させるまで暴れ続ける。

全員がバラバラの無惨な死体となり、琵琶自身も他人の血で血みどろになり、狂った様に高笑いしている。其れを見られてから、琵琶の単独行動は必要最低限となってしまった。

「自覚は無いんですよ。だって、俺の記憶はその時途切れますから」
「だが、
、、、、、、、、、、、
本体は手前じゃねェだろ？」
「……ええ。元の人格は彼方ですよ。ですが其れが何だと云うのです。俺と彼は同じ、琵琶Aです。其れだけで十分でしょう？」
「否、確かにそうなんだが……」
「だったらもう、良いじゃないですか」

琵琶は表情を全く動かさないが、微かに殺気を放っていた。中原は其れに気圧された訳ではなく、只の気遣いとして其の話題を取り止めた。

其れは、彼自身の優しさであり、琵琶への甘さでもあった。

琵琶が二重人格に成った理由は、未だに誰も知らない。琵琶は誰にも話していない。……推測で察している者はいるが。