琵琶はエリスのお気に入り ページ3
「……今から任務に行くので、云われた通り報告に来ました」
「其れは分かっているよ。お疲れ様。宜しく頼むよ、中原くん、琵琶くん」
「はい、首領」
森は朗らかな笑みを浮かべながら、朗報を期待しているよ、と云う。
其れは言外に失敗する事は許さないと云う脅しも含まれていた。成程、如何にも凶悪なマフィアの首領らしい。
「勿論です。な、琵琶」
「当然の如く、滞りなく終えますよ。……後、エリス嬢」
「何？ 琵琶」
森を見た時とは違い、可愛らしい笑顔を琵琶に向けるエリス。
琵琶はエリスのお気に入りの一人である。というか《同じ名前の厄介な異能力者の会》の会員は大抵エリスのお気に入りだ。
「首領を苛め過ぎないでくださいね」
「琵琶が一緒に遊んでくれたら、そうしてもいい」
期待の目でエリスは琵琶を見る。琵琶は分からない程度に笑って、エリスの頭を撫でた。
「分かりました。任務が終わったら、一緒に遊びましょう？ 早く終わらせますので」
「江戸川や上橋も、一緒に遊んでくれる約束してくれた。待ってる」
「あの二人もですか……騒がしくなりそうですね。楽しみです。……では、失礼します」
礼儀正しく一礼すると、中原と琵琶は部屋を出ていく。
「お前、本当にエリス嬢に気に入られてるよな……」
「そうですよね……何で気に入られてるんでしょう？江戸川Aさんなら未だ分かるンですが……」
江戸川Aは人に好かれやすい人間であり、子供っぽいので、エリスと気も合うのだ。
ポート・マフィア最下級構成員だが、実力も経験もあるので、幹部クラスですら友人である。
「……否、手前も十分に変人だからじゃねぇか？ 何でお前らはそんなに変人なンだよ」
「きっとAという名の異能力者の宿命なのですよ」
「キメ顔で云うな。格好よくはねぇよ」
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作者名：紅葉蓮 | 作成日時：2016年7月7日 21時
