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九月末 ページ24

「伊黒様」
「加賀見か。入れ」
「失礼します」


襖を開けると、伊黒様は書き物をしていた。あ、あれ蜜璃様が選んだ便箋……そして当然のように使われている万年筆。はーーー?? 尊いが??

伊黒様が顔を少し俺の方に向ける。


「怪我の具合はどうだ」
「問題ありません」


そう、俺は任務中に怪我をしたのでしばし伊黒様の元を離れ蝶屋敷で治療を受けていた。つまり、祝いの品を渡せてない。伊黒様からえっっらい長い手紙が送りつけられたので、帰りたい気持ちがすごくあった。まあ蝶屋敷は綺麗な方やかわいい子もいてほのぼのする空間なので居心地はいいのだけれど。

めちゃめちゃ簡潔に手紙をまとめると、『何怪我をしているんだふざけるな甘露寺も心配していたぞとっとと治せ帰ってこい』……だったので、ものすごく心配されていた。伊黒様は筆まめだなあ。

鏑丸が気づけば足元にいたので、しゃがんで腕を出すと巻き付いてくる。鏑丸も心配してくれていたのだろうか。


「他の者を庇っての怪我と聞いた。死ななかったからよかったものの、死んだら誰がその鬼を倒せたんだ。あの場にお前程度の実力を持つ隊士すらいなかったとも聞いたぞ。全く、最近の若手は弱すぎるな。質が落ちている」


ネチネチしている。そういうところも好き。


「言ってもどうせやめないだろう。庇うなら怪我をするな。わかったな」
「はい。精進します。……ところで伊黒様。その、遅くなってしまったのですが……誕生日祝いを」


伊黒様の側で膝をつき、飴細工を渡す。伊黒様は目を見開いて受け取った。


「お誕生日おめでとうございました。伊黒様が生を受け、俺と出会ってくれたこと、命を救ってくださったこと、本当に嬉しいです。成人しましたし、今度お酒も飲みましょうね」


あとは蜜璃様が成人したら既成事実が作れる(諦めてない)。伊黒様はしかめていた顔を少し穏やかにして、


「そうだな、そうしよう」


と言った。


「それにしても……お前はいつも消耗品だな」
「……無意識でした。確かに」
「家を燃やしたのと同じ理由か?」
「……ちょっと宿題にさせてください」
「好きにしろ」

十月某日→←〃



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紅葉蓮(プロフ) - ゆうさん» ありがとうございます!!あと少しで一旦完結の予定ですので、頑張ります! (2020年6月14日 19時) (レス) id: e2cb5510b9 (このIDを非表示/違反報告)
二嘉 - いいなコレ。気にいったぜ☆ (2020年6月3日 18時) (レス) id: 5a89568ca4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです!続き読みたいです! (2020年4月27日 21時) (レス) id: 7f11035070 (このIDを非表示/違反報告)
ソーダ - うむ。面白い!よもやよもや! (2020年3月4日 8時) (レス) id: 4b674ab2ae (このIDを非表示/違反報告)
紅葉蓮(プロフ) - 紫呉さん» いやほんとそれですよね…! (2020年2月25日 10時) (レス) id: e2cb5510b9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅葉蓮 | 作成日時:2019年11月25日 11時

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