八月某日 ページ17
八月◎日 天気 あっっつい
暑い。これは……もう……溶ける。さすがの伊黒様も若干薄着だった。口元の布は外さないが……それが暑いのでは……?
鏑丸の姿が見えない。彼なりに涼しい場所を探し当てたのかもしれない。
「ごめんください」
……客人。女性の声のようだが蜜璃様ではない。凛としている(蜜璃様が凛としていないという意味ではなく)。さすがにこんなはだけた格好じゃまずい。
「少々お待ちを!!」
玄関の方に叫んで着衣を整える。着流しだが許してほしい。昼外出する予定なかったし……。駆け足で玄関先へ向かう。引き戸を開けると、二つ結びと蝶を模した髪飾りが目に入る。えーと、
「アオイさん?」
「はい。しのぶ様から荷物を預かっています。使い方をお教えしなさい、とも」
「……あぁ……。お茶淹れますね、中へどうぞ」
「いえ、結構です。手間でしょう?」
「菓子が余ってるので……よければ」
暑さで頭がぼんやりしている。あー、美少女だなーと思いつつアオイさんから荷物を受け取った。きりっとした顔でかわいいと思う。言ったらしのぶ様に殺されそうだけど……下心があるわけではない。絵に描きたいなとは思うが。
当然のように絵を描いて暮らすものだと思ってたからな、俺。
扉を開けたまま中に入る。アオイさんはえっ、と困惑した様子だったが、扉を閉めて俺のあとをついてきた。
「あのですね、加賀見様」
「はい?」
「加賀見様の階級は乙ですよね。私のような戦いに出ていない隊士にお茶を淹れる立場ではないかと」
「……乙だっけ……?」
柱とその他、が基本なのでちょっと覚えていなかった。伊黒様の任務によくついていっているからか……?
「乙だとしても、甲……つまり柱の方で文句言う人はいませんので大丈夫ですよ」
「そういう問題では……」
「問題はありません。覚書用の紙を持ってきますので、ここでお待ちくださいね」
「えっ、あの……!」
客をもてなすためにお茶淹れることの何が問題だというのだろう。俺は伊黒様が淹れたお茶も普通に飲むぞ(そういうところ)。他の乙がどうかは知らないが、俺はすごくないので畏まる必要もない。
86人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紅葉蓮(プロフ) - ゆうさん» ありがとうございます!!あと少しで一旦完結の予定ですので、頑張ります! (2020年6月14日 19時) (レス) id: e2cb5510b9 (このIDを非表示/違反報告)
二嘉 - いいなコレ。気にいったぜ☆ (2020年6月3日 18時) (レス) id: 5a89568ca4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです!続き読みたいです! (2020年4月27日 21時) (レス) id: 7f11035070 (このIDを非表示/違反報告)
ソーダ - うむ。面白い!よもやよもや! (2020年3月4日 8時) (レス) id: 4b674ab2ae (このIDを非表示/違反報告)
紅葉蓮(プロフ) - 紫呉さん» いやほんとそれですよね…! (2020年2月25日 10時) (レス) id: e2cb5510b9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:紅葉蓮 | 作成日時:2019年11月25日 11時