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五月末 ページ8

「加賀見」
「はい?」
「甘露寺に甘味処の券を渡したのはお前らしいな」
「あぁ……はい」


尾行したかったのに鬼退治の任務が被り結局できなかったんだよな。俺は鬼を許さない。鬼舞辻無惨は殺す。……意気込んだところで俺の実力では太陽を打ち落とす! と叫ぶ馬鹿と同じだが。

伊黒様が懐から何やら紙を取り出した。『割引券』と書いてある。


「礼だ」
「えっ」
「お前にも友人くらいいるだろう。好きな人でもいい」
「両方いないのでお館様でも誘います」
「さては馬鹿だな貴様。……仕方ない、俺が行ってやる」


え゛っ。定食屋の割引券を押し付けられながら、俺の頭はぐるぐると思考する。何、どういうこと?


「お前は俺が甘露寺を愛していることを知っているが」


『好き』ではなく『愛している』というところに心が滾った。尊い!!! というか知ってることバレてたのか……。まあ『お付き合いなさってるんですか?』とか聞いてるから当たり前だな。


「これは知らなかったらしいな。お前は俺の部下だが、……友と思ったことがない……わけではない」
「……!!」


予想してなかった言葉に視界が歪む。感情がいっぱいいっぱいになると人は泣くのだ、と再認識した。


「……! 泣くな鬱陶しい」
「えっ、いや、だって……俺はその、あまり人好きのする人格でもないのでまさか、そう、思っていただけているなんて」


鏑丸が舌を伸ばして俺の目尻辺りを舐める。伊黒様の指も拭ってくださった。お優しい方である。


「いつも俺と甘露寺に機会をくれるだろう。お前の親切はちゃんとわかっている。その礼だ、受け取れ」
「い、伊黒様〜〜。……はい、頂戴します。ですので、甘露寺様のお話をどうか聞かせてくださいね」
「聞きたいのか」
「お二人の仲の良さを見ると、嬉しくなるので」
「変わったやつだ」


伊黒様は目を細めた。きっと、隠された口元は笑っているのだろう。

六月某日→←〃



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紅葉蓮(プロフ) - ゆうさん» ありがとうございます!!あと少しで一旦完結の予定ですので、頑張ります! (2020年6月14日 19時) (レス) id: e2cb5510b9 (このIDを非表示/違反報告)
二嘉 - いいなコレ。気にいったぜ☆ (2020年6月3日 18時) (レス) id: 5a89568ca4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです!続き読みたいです! (2020年4月27日 21時) (レス) id: 7f11035070 (このIDを非表示/違反報告)
ソーダ - うむ。面白い!よもやよもや! (2020年3月4日 8時) (レス) id: 4b674ab2ae (このIDを非表示/違反報告)
紅葉蓮(プロフ) - 紫呉さん» いやほんとそれですよね…! (2020年2月25日 10時) (レス) id: e2cb5510b9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅葉蓮 | 作成日時:2019年11月25日 11時

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