第四十二話 ページ43
「薬研、余計なことを……あ、あれは死んだら死体処理が面倒だと思っただけだ！」
「どんな言い訳ですか、全く」
「長谷部はめんどくせえなァ、ひっく」
織田の子って仲いいなあ。と、思ったけどそれ言ったら全力で否定されそうだなあ。
「戻るぞ、貴様ら！」
「あ、いえ、僕は審神者と二人で話したいことがありまして」
先に行ってください、と宗三さん。え、話って何？
「わかった。まだちょっと信用ならねえが、宗三がそうしたいならそうするべきだ」
「えぇ、そうさせていただきます」
薬研って相手を立てるけど自分の意見もしっかり言える子だよね。ううむ、見習わなくては。
「宗三くん、二人で話したいなら僕達もすぐ出るけど、主の護衛、審神者部屋の前まではお願い」
「はい、わかりました。……燭台切」
皆がそれぞれの目的を持って手入れ部屋から出ていく。
しばらくして、宗三さんは私の方を向いた。色が異なる目には憂いや絶望があり、心をざわつかせる。
平常心、平常心。
「単刀直入に言いますけど、どうか取り乱さないでください」
「頑張ります」
「あの燭台切光忠は、何者ですか？」
「え、役人さんが英語が話せる亜種だって」
「いえ、そうではなく。亜種だろうとなんだろうと、存在は同じですから……同じ燭台切光忠であるはずなんです」
「──？ わかったようなわからんような」
「……あの燭台切光忠は」
続く一言に──私は狼狽した。
.
「本当に、燭台切光忠ですか？」
＊
「もしもし鶯、鶯よ。世界の内でお前ほど、お茶が好きなものはない。どうしてそんなに好きなのか」
「楽しそうだな、獅子王。大包平でも来たか？」
「来てねえよ」
歌う黒獅子にそっとお茶を出すのは彼の隣に座る鶯丸。机の上にはお茶の他に何もない。
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作者名：紅葉蓮 | 作者ホームページ：
作成日時：2017年11月28日 7時
