第十話 ページ11
「それに、きみもみんなをつれてたすけにきてくれるだろ？」
「もちろんだぜ！ ……と、言いたいところではあるのだけれど、ほら見てみたまえこの力瘤」
「あるじ、ないものはさすがにみれない」
「そう、それが真理」
「あたまだいじょうぶか？」
「私の扱いわかってきたみたいで主嬉しい……死にたい」
ぐしゃっとその場でつぶれるように丸まる主を俺は見つめる。変なやつだなあ、というのが今の印象。
第一印象は、割りと不気味と言うか不可思議と言うか……とかくそんな感じだった。
派手な模様が施された狐面に、烏か鷹か鷲かはわからんが、白い石に黒く鳥が彫られた首飾り、全身真っ黒な立ち姿。面食らった。
でも「こういう二次創作知ってる！！！」が第一声だったからさらに戸惑いを覚えた。
「ともあれ、私戦えないんだわ。誘拐するようなやつと戦う？ 無理無理無理って感じでね」
起き上がると首を横に振り、主は言う。
「だから、その、他力本願になると思うけど──善処する」
「そうか」
主に笑いかけると、「しんどい」と呟かれてそのままもう一度つぶれた。
＊
「うどん美味しい。というか厨房に行ってもらってから思い立ったんだけど、材料あったの？」
「うん。厨房はほとんど使われてないみたいなんだけど、材料自体は豊富にあったから拝借した」
「材料はあっても厨房は使ってない……ってことは」
「つくるよゆうがなかったのかもしれないな。それほどせっぱつまっていたのか……」
見る限り、野菜が傷んでるとか出汁が変な味するとかそういうこともない。材料がダメで使ってない……とかではなさそう。
「あとで政府に頼んで支給品として色々送ってもらえないかな？ 肉とか卵とかはなかったし……」
「申請はしてみるからメモしといて」
「栄養バランス崩れちゃうもんね。主は育ち盛りだろうし」
「ははおやか」
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作者名：紅葉蓮 | 作者ホームページ：
作成日時：2017年11月28日 7時
