【マジ】パーリーピープルな男士が顕現しました【卍】 (ページ5)

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語彙力ナッシングでマジ卍５ページ5

宗三は嘆息した。この刀剣には、妙に憂いを帯びた姿が似合う。存外勇ましい戦い方をする彼にとっては不本意であるだろうが。

「時間がかかりそうなので。それに、同じ本丸なんですから嫌でも顔を合わせるでしょう？」
「嫌なのか」
「言葉の綾です」

閉められた襖と同じくぴしゃりとはねのけられてしまった。……まだまだ課題は多そうだな。

とりあえず、今はAの様子を見守るとしよう。この場での自己紹介も義務ではない、お互いのことなど、おいおい知っていけばいい。

「兄弟！」

堀川の兄弟が輝くような笑顔を浮かべて俺に駆け寄ってくる。

「Aくんの世話、兄弟がいない場合は僕が担当してもいいかな？」
「あぁ、Aがいいなら」
「あはは、そこら辺は抜かりなく確認したから安心して！兄弟、お手伝いなら任せてよ！」

頼もしい兄弟だ。

「拙僧も手伝おう！」

いつの間に近くに来ていた山伏の兄弟が豪快な笑みを浮かべていた。こういう時、兄弟がいてありがたいと思う。それも、とびきり優しい兄弟が。

＊

「お箸じゃーん。ウケる」
「食事をする前に、この箸の扱いにある程度慣れておくべきだ。練習するぞ」

箸の扱いにはかなり個人差が出る。顕現した直後に使えるものもいれば、とにかく練習を要するものもいる。俺は扱いに慣れるまでに苦労した。

その差は箸の扱いだけではない。料理、睡眠、呼吸、体の扱い、色々なところに個刃差が出る。この差はどこから生まれたのだろう。

「どうだ？」
「マジムズ。さげぽよ」

扱いを難しく思う側らしい。久々に子供用の、輪っかに指を通し使う箸を取り出すか……。箸は食事において極めて重要な道具だからな。

「A、蔵へ行くぞ」
「……蔵……」

その顔がわずかに陰ったことに、俺は気づかなかった。