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- すばるside -
「すばる！」
「んー？」
「何も無い！」
「んー。」
「すばる！」
さっきからこれの繰り返し。
楽しみにしとった月曜日が来たのに朝から不調を極める隆。
初日から遅刻はまずいでーって俺の再三の呼び掛けになんとか目は覚ましたけど、
布団から出ることもせずにずっとグズグズしとる。
「すーばーるぅー。」
隆を流しながら仕事の準備をする俺に掛けられた声。
この呼び方は決まって気持ちが不安定なとき。
これは流したらあかんヤツ。
「どーしたん。」
「隆もみじ行きたないー。」
「なんでやー？昨日は早よ行きたい言うとったやんか。」
「言うてへんー。すばると一緒におるのー！」
「んーでもすばるも仕事行かなあかんねん。隆も頑張ろ？」
隆の顔が一気に曇り、耐え切れず涙が溢れてくる。
いつもの笑顔はすっかり影を潜めてもうた。
「いややー！隆にはお仕事でけへんのー！」
「…………うーん……」
これが未だに抜け出せない隆の昔っからの悩み。
人の話が聞けない。
じっとしていられない。
集中力が続かない。
期限が守れない。
空気が読めない。
ほとんど障がいのせいやけど分かってもらえへん人もおるわけで。
ちっちゃい頃から怒られて怒られて、植え付けられたのは極度の劣等感。
23歳になってもまだそれが脳の奥から取り去れてないねん。
「なーに言うてるん。隆はお仕事できる子やろ？」
「……ちゃう。」
「違わんて。すばるの弟なんやから大丈夫。」
「……大丈夫ちゃう。」
「え？すばるの弟ちゃうん？」
「……すばるの弟。」
「じゃあ大丈夫！とりあえず一回行ってみよ？」
「…………んぅ。」
「よし！じゃあすばると一緒に支度や！」
隆の涙を拭ってやって赤く染まった顔を洗わせる。
結構やばい時間やってんけど飯も着替えも動いてくれへんから最後まで一貫して大変やった。
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作者名：すぶた | 作成日時：2017年8月26日 15時
