もみじが色づく日 (ページ11)

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- すばるside -

一人で好き勝手暮らしとった俺が突然隆の親代わりになって、

当たり前やけど最初は上手くいかんことの方が多かった。

そんなときに愚痴と弱音を静かに聞いてくれた唯一の人がヨコ。

俺もあんまり人にいろいろ話せるタチやないんやけどヨコだけはなんか別で。

5年経ってもまだお世話になっとる。

「でも隆平行けたは行けたんやろ？やったらそれで良かったんちゃう？」

「ほんま？良かったー。間違ったこと言うた気がして不安やってん。」

「すばるは間違うたことはよう言わんやろ。」

「おう、せやんな。」

「ちょっとも否定せんのかい。」

「あははは！んじゃそろそろ切るわー。ありがとな！」

「おう。いつでも電話しいや。」

電話を切った俺の心はさっきよりもちょっと軽い。

いつも特にアドバイスをくれるわけでは無いんやけど、それでも俺は救われる。

俺自身も求めてるのは多分話を聞いてもらうことや思うねん。

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緊急事態の連絡が来んかチラチラ携帯を確認しながらの仕事。

ようやくのことで定時になり、隆を迎えに行く時間が来た。

あんなバイバイやったから今日一日ずっと心配やってん。

新しい職場仲間と飲みに行くのも今日だけは丁重に断って、もみじに向かって車を走らせた。

「お疲れ様です！」

「あっ渋谷さん！お疲れ様です。」

「すばるや！！」

建物に入って職員さんに挨拶したら俺に気付いた隆が走って来た。

降所準備も万端で、待たせたもうたんやなって分かる。

でもその顔は泣いた形跡のまったく無い笑顔。

大丈夫やったんやってホッとして肩の力がようやく抜けた。