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O「......そんな考えんな」

そう言ったサトシの手が、窓ガラスに添えられていた俺の手に重なった。



O「わからないこと、なんでも俺に聞いたらいいし、
不安なことはなんでも俺に言え。
言っただろ、俺はお前を裏切るようなことはしない。」


重なった手に力が込められる。



...そう、不安なんだ。俺は

怖いんだ。死ぬことが


明日には死ぬかもしれないという恐怖にこれから毎日怯えて過ごすの?
こんな中で生きてるサトシは異常だよ。


今までの平凡な日常がどれだけ幸せなことだったか今わかった。



サトシは浮かない顔をしていた俺の傍にずっといてくれた。

そしてすっかり黙ったままな俺に見かねたのか、口を開いた。

O「絶対にお前を死なせはしない」




絶対…ぜったい、ね…..



何を根拠に俺を守りたいと言うのか、俺には理解できない。

一度裏切りにあったから自分からはいと言えない。

自業自得じゃんってなるし。

もうこの際、ボディーガード的な感じで受け身でいた方が楽なのかも。

もう….、考えるのが嫌になってきた。

考えるなって言われたし、もう委ねちゃおう。

死んだら死んだで、苦しむ時間が短くなったってことでいいんじゃん?



自暴自棄になったことで捨てるもの捨てて、心に余裕が生まれた気がした。
それと同時に人間としての倫理的な尊厳も捨ててしまったと感じた。



けれどこの人なら、サトシなら、本当に守りきってくれるのかも。

そんな微かな望みがまだ心のどこかにあって。



踏ん切りがつかない自分にイライラする。





気づいたら目は涙で溢れていた。

サトシが優しく俺を引き寄せて胸を貸してくれた。

頬を伝った涙は添えられたサトシの手に吸い込まれていった。



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作者名:momiji | 作成日時:2021年10月14日 1時

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