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S「ハァ...ハァ....ハァ...」
ここはどこだ...?
俺は、何をしていたんだ...?
そうだ、能力を使ったんだ。
記憶が曖昧だ。
何かと戦っていた気がする。
そういえば腕が痛む...
S「っ......」
なんだこの歯形...大量の血出の跡....
肉と骨が見えてしまっている....
S「.............はっ!!ジュン!!」
この歯形を見て思い出した。
俺の少し離れたところでうつ伏せに寝るジュンの姿があった。
S「おい!大丈夫か?」
近寄って揺するが、反応はない。
仰向けにさせて心臓の音を聞くとトクトクと聞こえた。
S「よかった...!生きてる!」
気絶しているだけなのか...
起きるまでそっとしておくべきか、そう考えたとき、ジュンの身体を見て絶句した。
ビリビリに破けた服から見える露出した肌は赤黒く染まり、傷口はないものの大量に出血したのが窺える。
このままにはしておけない。
頭を冷静にして周りを見渡せば、どうやらここは普通の家の中のようだ。
俺たちは生きているということは、さっきの任務、遂行できたのか...?
S「.....ごめん」
俺はジュンの服に手をかけた。
もう服とは言えなくなった状態の布を1枚ずつ脱がしていく。
知り合って間もない人に裸を見られるのは嫌だろうから、背徳感で頭がいっぱいだ。
S「よいしょ...」
全て服を脱がせ、部屋にあったシャワー室に運ぶ。
温かいお湯を出してこびりついた血を流した。
汚れを落とすとそこには、傷シミなにひとつない綺麗な肌があった。
思わず二の腕に指を滑らせてしまった。
S「うわ、すべすべ」
そういえば、服を着ている時は細身だと思っていたが、こうして見ると結構鍛えているようだ。
いかんいかん。
邪念をかき消すように自分の体も洗う。
S「う〜いてぇ」
最後に自分の傷を洗って、ジュンの体が冷えないように身体を拭いて、掛けてあったバスローブを着させる。
S「ここは俺たちの部屋ってことか?」
キッチンに広いリビングダイニング、更に部屋が2つある。
机、椅子、ソファ、ベッド....
家具は完備されているようだ。
少し気を抜くと今までの疲れがどっと襲ってきた。
片方の部屋のベッドにジュンを寝かせて、俺もその隣で沈むように眠りについた。
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作者名:momiji | 作成日時:2021年10月14日 1時