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「大丈夫、俺も一緒に行くから」
そう言って俺に手を差し伸べてくる彼、
水使いに促されたが、この穴を潜るのには勇気が必要だった。
しかしどんどん穴へ引っ張られる力が強くなり、痺れを切らした彼は俺の手を取って自身の方へ引き寄せた。
そのまま意思とは反対に暗い穴へ吸い込まれた。
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目を開けると最初にいた白い空間に立っていた。
隣にはあの彼もいた。
取り敢えず、何事もなく戻ってこれたことに安堵した。
海の中にいたはずなのに不思議と身体はどこも濡れていない。
「水は取っておいたよ。」
そうだ。この人の力だった。
「ねえ、名前教えてよ。
俺は”サトシ“。」
N「....カズナリです」
O「ありがとう。
カズナリはどんな能力を持っているの？」
N「実は、無い....みたいで、」
O「そうなんだ。
大丈夫、たまにそういうヒトいるから。」
いやこの世界では死活問題じゃないのか、
俺は喉元まで出かけた言葉を飲み込んだ。
N「さっきも思ったんですけど、なんでそんなに詳しいんですか？」
O「そのこと話そうと俺も思ってたよ。
怪我見てあげるから、ついでに聞いてよ。
座って話そ？」
人気の少ないところへ移動し、真っ白な床に2人で座った。
O「カズナリは今回の任務が初めてだったでしょ？
俺は初めてじゃないんだ。
この世界には時間っていう概念はなくって、どのくらい前になるかわからないけど、体感では1年前くらいにここに初めて来たんだ。」
O「俺は海の近くに住んでて暇さえあれば海に潜って遊んでいた。泳ぎは得意だったし、イルカが懐いてくれて一緒に泳いだりするのが楽しかった。毎日、もっと早く泳ぎたいって思ってたんだよね。そうしたら人魚になってた。」
いや急展開。
サトシは俺の怪我の傷口を綺麗な水で洗い流しながら続けて話した。
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作者名：momiji | 作成日時：2021年10月14日 1時
