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「危ない！！」
マルは間一髪で、俺を喰らおうとしていたそいつ蹴飛ばした。
『ｳｩ....、ｸﾞｩｧｧｧ！』
一瞬動かなくなったが、また体を起こして突進してきた。
腰が立たない俺を一瞥したマルは俺の前に出てきた。
「戦うしかねぇ！」
理性を失ったそいつは自分の怪我もお構いなしにマルに鋭い牙を向けた。
「おらぁ！！」
噛みつこうとする牙を避け、頬に一撃、
ふらついた隙を見て、背後からもう一撃食らわせた。
「やった」
ピクリともしなくなった死骸。
マルはそこから2、3歩下がり距離をとった。
その死骸を見る視線は少し冷たいように感じた。
倒してくれたことの安心感はあるのだが、なんだろう...
絶対の安心感が得られないのはここにいる限り仕方がないのか...
N「ねえ、もしかして...」
ふと見た空の、大きくバツ印のついた顔はこの人だった。
「だからこいつこんなにボロボロやったんか...」
この人も自分が殺されないために必死だったんだ。
そう思ったら、この状況はお互い様だったとはいえ、
上手く言い表せない罪悪感に駆られる。
改めて今までとは違う世界にいることを実感した。
「ん？てことは俺1人目か！？」
N「そう...だね、」
マルは、なんだか平気そうに見えた。
「また何かあったら俺が守ったるで！
よっしゃあ！続きしようや！」
N(マルは能力も強いのに、心も強いんだな。すごいな。)
俺たちは亡骸を茂みに寝かせて、手を合わせてその場を後にした。
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作者名：momiji | 作成日時：2021年10月14日 1時
