【d!】トリップでファンタジーなRPG世界でぶらり旅part1 (ページ33)

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初めてのクエスト編19 ページ33

肩で呼吸しながら二人はあえぐように言う。

zm「なっ、なんなんやあいつら……」

kn「死ぬかと思った……」

必死にロープを登ってきた彼らは息も絶え絶えだ。なにか声をかけようと思ったとき、コネシマが「あっ！」と叫んだ。

kn「トントンの松明がない！」

見ると確かにコネシマの手には松明がない。

これで明かりは名前も分からない謎のキノコだけになってしまった。

『たぶんあの下に……』

崖下を覗けばスライムだらけで、うようよいるのがなんとも気持ち悪く、ちらっと様子を見てすぐに視線を戻す。みんなも同じようだった。

sya「あの火のせいでさらにモンスターが増えるとかないよな？」

zm「まあさすがに地面に落ちて消えてるやろ……地面というか、押しつぶされて？」

kn「くっそ、守りきれんかった！すまん、トントン……！」

コネシマはとても悔しそうだ。あれだけ大事にしてたからね……色んな意味で。

em「災難でしたね……お二人とも」

kn「おおかたお前のせいやで？」

zm「モンスター図鑑があってもたいして役に立たへんな、エミさんは」

em「だ、だって見てくださいよこの本の分厚さ！この短時間で特定できた俺すごいからね！？」

エーミールのモンスター図鑑はちょっとした六法全書ぐらいある。そのまま鈍器として武器に使えそうだ。

これを一枚一枚ペラペラめくって特定できたのはたしかにすごい。

sya「てか、これじゃ先に進めへんやん。どうするん？」

zm「どうする言うてもなぁ……」

崖下は一切見ないようにしつつ、みんなと相談する。悩み抜いて、私は提案する。

『とりあえず……戻ります？』

zm「それしかないよなぁ」

sya「また崖登り降りするのだるぅ……」

それから数時間かけて私たちは無言で崖のダンジョンを乗り越え、洞窟から出ることができた。