【d!】トリップでファンタジーなRPG世界でぶらり旅part1 (ページ26)

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初めてのクエスト編12 ページ26

sya「そういえば君、ちゃんとマップ書いとるか？手がまったく動いてないけど」

『あっ』

暗いダンジョンに入っているという緊張感ですっかり忘れてた。

慌ててガリガリ書いていると、エーミールが横から覗き込んでくる。

em「ここまで一直線に来ましたから通路はまっすぐでいいんですけど、描いた通路が狭すぎますよ。一人しか通れない狭さに見えます」

『ほ、本当だ。どうしたら』

私が慌てていると、エーミールは優しく声をかけてきた。

em「描き直しましょう。それでこの辺りに丸を描いて人を表して、この幅ですって見せるといいですよ。横に何人通れる広さかとか後で分かるように」

『はい！』

言われた通り描き直す。私とエーミールの会話を聞いていたのか、前にいるコネシマも手元のマップを覗き、「ほー」と感心した様子でいる。

kn「そういうのも気にせなあかんのかー。マッパーって大変そうやなぁ」

zm「マップに地図描く時間とか作らなアカンな」

『すみません……時間とっちゃって』

kn「ええってええって！大事なことやから」

sya「ところでこの石壁、どうする？」

パーティーは壁を見上げる。でこぼこした石壁だし、気合があれば登れそうだ。登れる人がいるならば、なのだが。

zm「ふーん。俺の盗賊の力が必要なようだな。ちょっくら登ってみるわ」

kn「いけるんか？」

zm「ま、なんとかなるやろ！」

sya「また適当なこと言うて……」

ゾムは石壁の強度を確認し、えっちえらおっちら壁をよじ登り始めた。

『き、気をつけてくださいね！』

シャオロンが後ろで「あいつすげぇな……」とつぶやくのが聞こえる。

姿が見えなくなってしばらくしたあと、上のほうから声が聞こえた。

zm「あー行けた行けた！つか暗ッ！コネシマ……松明係！はよこっち登ってこい」

kn「誰が松明係やコラ！」

em「というか、私らが登る前に……上はどうなってます？」

zm「んーと、なんかあるかな……なんも見えへんぞ……なんやこれ、蛇か？」

『へ、蛇？』

ゾムの声が途切れ、上からぱさっとロープがおりてきた。蛇が降ってきたのかと思って体が一瞬ビクッとした。

kn「これは？登っていいやつ？」

コネシマはぐいぐいとロープを引っ張る。太くて頑丈そうだ。