【d!】トリップでファンタジーなRPG世界でぶらり旅part1 (ページ23)

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初めてのクエスト編9 ページ23

sya「そういや俺ら明かり持ってきとらんやん。どうする？今から戻って懐中電灯とか借りてくるか？」

tn「いや、ファンタジー世界にそんなんあるか？あるとしたらカンテラとか松明とかぐらいやない？」

kn「そもそもそんなもの借金持ちの俺らに貸してくれる人がおるとは思えんけど……」

『でもこのままじゃ進めませんね……そうだ、火を起こしたらいいんじゃないですか？こう、原始的に……」

kn「んなもん誰がやるわけ？」

と会話していたところで、「あっ！」とトントンが叫んだ。

tn「せや！ここで俺の出番やん！！」

その言葉に、ハッと探索組が振り返る。

tn「待ってろよ、必要なのは手持ちによさそうな太い棒と……火口になりそうな草。これをほいほいっと」

トントンは器用に松明の原型を作ると、そこに手をかざした。

そういえばトントンは火の魔法使い……もしかすると！？

『まさか、トントンさん！？』

tn「ああ……俺は見せてやるぜ……”炎の魔法使い”としての能力をよ……。なんかよう分からんけど今、すっごい手から火が出せそうな感じがする！」

トントンは松明と右手を頭上に掲げると、大きな声で叫んだ。

tn「ファイヤ───！！」

ゴオオオオォ！！！

爆音とともに突然目の前にすさまじい熱気を感じ、私はパーティーの後ろに隠れた。みんなも体が引けている。

トントンの手のひらから出た火炎放射が空に向かって伸びていた。

『ひ、ひええ……』

kn「おおおお、すげ───！！」

sya「うわ……火柱になっとるやん……髪の毛燃えるて」

これが魔法……！初めて見たけど、すごいっていうか怖い……

たっぷり5秒ぐらい火を吹き終わったあと、とつぜんトントンは糸が切れたようにバタッとうつぶせに倒れた。

kn「トント───ン！！！」

tn「え……なに……？指一本も動かせん……」

sya「ちょ、松明火がついとるって。危な」

地面とはいえ草も生えているので、松明を転がしておくと火事の危険性がある。こんな森の中で火なんかついたら山火事になってしまう。

火がついた松明をシャオロンが回収し、みんなで倒れたトントンに近寄る。

いったい何があったのだろう。