【d!】トリップでファンタジーなRPG世界でぶらり旅part1 (ページ2)

今日:8 hit、昨日:29 hit、合計:13,124 hit

プロローグ2 ページ2

やっとのことで茂みを抜けると、そこには信じられない光景があった。

『はぁ……はぁ……、っきゃああ───！？』

木がひらけた所で、男の人がツタのようなモンスターにがんじがらめにされている。

捕食されているとも言っていいかもしれない。

なぜモンスターだと思ったのかは、そのツタが意思を持っているかのようにうねうね動いて男を捕らえていたからだ。

草でできた触手のよう。……現実じゃありえない生き物だ。

だとするとモンスターと形容するしかない。

タコの足のように動くツタを見て、気持ち悪さに思わずたじたじと後ずさってしまった。

？「あ、あかん……俺ここで死ぬ……さよならみんな…」

ぐったりとした様子の男の言葉に私はハッと我に返る。

周囲に人気はない。この人は私がなんとかしないと助けられないのだ。

『あ、諦めないでください！えーと……えーと、なにかないかな……』

草、草、木……辺りに目を走らせるが、役に立ちそうなものはなにもない。

ふと腰に重みを感じて見てみると、なぜか見覚えのない短剣付きベルトが腰に巻き付いていた。

『こっ、これで！！』

なぜこんなものを持っているのかは分からないが、ナイフがあって助かったと今は考えることにする。

男にまとわりつくツタをそれでぶちぶちと切っていく。

切ったツタはしばらくうねうねとミミズのようにのたうち回ったあと、しなっとしなびて茶色くなった。

『うええ……』

ナメクジに塩をかけたみたいに死んでいくモンスターを見ると、気持ち悪い。

なんかシューシュー言ってるし。

最後に大きく体を縛り上げていた太い一本をズバッと切り落とすと、触手に解放された長身の男はうっうっと嗚咽しながら彼より背の低い私にすがり付いてきた。

？「ありがとぉ、本当にあんがと～～～！」

『いえ、近くにいたので……。！……って！？」

私は男の顔を間近で見て驚いて、言葉の続きを忘れてしまった。

『チ、チーノ……さん！？』

に、そっくり……！！

コスプレというレベルではなく、男が某実況者のキャラクターであるチーノに瓜二つの人物であることにやっと気がついた。

私の反応に、男はくいっと丸メガネを押し上げてまじまじと私を見つめる。

ci「え、俺のこと知ってんの？」

『えっ！？ええと……ご本人さまで？』

私は自分でもパニックになってなにを言っているのか分からなかったが、その言葉にチーノはポンと手を叩く。

ci「あっ、もしかして───」