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『いた！……生きてる』
タンスの中にいたままでは窮屈そうだろうと、二人がかりで引っ張り出してひとまずベッドに寝かせる。
zm「そらよかったわ。副隊長の身になんかあったら……A、泣くもんな」
『そんなこと……』
そんなことない、と言おうとしてAはスンッと鼻をすすった。
我慢していた感情がいっせいに胸になだれ込んでくる。
『う……うわああ……！』
Aはゾムにすがりついて大声で泣いた。
ゾムは少しびっくりした様子だったが、優しく背中をさすってくれた。
自分が死ぬ未来を回避できてよかった。
……カインが生きていてくれて、よかった。
zm「あの偽物を牢にぶちこんできた。後は任せた」
『うん。任されたよ』
それぞれ手分けしてカインに成り代わった殺し屋は牢屋へ、本物のカインは医務室へ。
行くべき場所へ送り届け、二人は廊下で会いそこで話し合った。
Aが死ぬ未来を回避したので、今度こそゾムは未来に帰ることになる。
これで本当に最後の別れになるかもしれないので、Aは寂しかった。
zm「えーっと、やり残したことは……本物は医務室に届けたし……」
『大丈夫。後は私がやるから』
zm「……そっか」
少し目と目を合わせる。ゾムの目は不思議と慈愛に満ちているような気がした。
『あの……』
行かないでほしい、とは言えない。
言いよどむAをゾムがとつぜん抱きしめた。ドキリ、と胸が高鳴る。
『(まるでゾムのこと意識してるみたい)』
zm「俺、Aに言いたいことがあるんや」
『……なに？』
うながすがゾムは少し黙って、体を離した。
zm「……いつかこっちの俺が話すから。話さんなら2年後に言うわ」
『なにそれ』
zm「さあ、なんやろな？」
ゾムはいたずらっぽく笑う。
zm「んじゃ、俺自分の部屋に戻ってから帰るわ。……じゃあな」
『……うん』
Aはゾムを見送り、自室に戻った。
怒涛の数ヶ月だった。
『(他の人に言っても、信じてもらえないだろうな)』
シン、とした部屋の静寂が耳にしみる。この数日間、毎日ゾムが訪れていた。しかし訪問者は”未来”に帰ってしまった。
『……ゾムさん、ゾムが話したいって言ったこと、いつか話してくれるかな』
胸に穴が空いたような気がしておさえてみると、夏の気候とは真逆のひんやりとした冷たさを肌に感じた。
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maria - がんばってください。とてもおもしろいですし、つづきもきになります (2023年2月26日 23時) (
レス) @page49 id: 2d8c9edfbf (このIDを非表示/違反報告)
エモンガ - 続きめちゃめちゃ気になります！投稿頑張ってください！ (2023年2月26日 20時) (レス) @page49 id: b3274f6834 (このIDを非表示/違反報告)
まーう - はい好き付き合って()更新頑張って下さい！応援してます！ (2022年11月29日 9時) (レス) @page38 id: 41f2ce60a3 (このIDを非表示/違反報告)
Zero - 続きめっちゃ気になります！更新待ってますね(๑•̀ㅂ•́)و✧ﾏﾂｿﾞ (2022年9月12日 1時) (レス) @page20 id: 551d4fc369 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：REO | 作成日時：2022年8月20日 16時
