72 ページ23
「お姉さん、暇？」
『え？一応暇だけど……』
声をかけてきたのは、髪を金髪に染め黒い地毛が頭頂部から覗く、いわゆるプリン髪の男性だ。
いったい何の用だろうとAはぽかんと相手を見上げる。
「暇なんだ、よかった。時間あるなら俺とお茶しない？」
『あ、えと……』
どうやらこれはナンパだったようだ。
こういうときって、どうやって逃げたらいいんだっけ？
『あの、人を待ってるから……』
「えー？でも相手いないじゃん。待つ間だけでもいいからちょっと付き合ってよ」
『えええ……』
結構強情なタイプらしい。
どうやって断ればいいのか考えあぐねていると、男はさらに言う。
「てか、ここで一人きりにする奴のほうが悪くない？それだったら俺と遊ぼうよ、君を暇にさせないよ？」
ショッピをバカにしたような発言に、Aはムッとする。
なにか言い返してやろうと口を開きかけたところで、男はぐいっと後ろに引っ張られた。
shp「……その人、俺の妻なんで！」
ショッピだ。急いで走ってきたのか、息を荒げて男の腕を掴んでいた。
「んだよ、既婚者かよ……」
男性は去り際にペッとツバを吐いて去っていった。行儀が悪い人だ、とAは眉をひそめる。
ショッピが助けに来てくれたことにホッとしつつも、聞き逃せなかった一言にAは恐る恐る声をかけた。
『つ、妻って……』
shp「俺ら夫婦でしょ？」
ショッピはちょっと誇らしげに串焼きを差し出した。香りからして、牛肉が串に刺さっているようだ。
『ま、まだそうじゃないけど……』
いざこうあけすけに言われると、つい恥ずかしくなってしまう。まごつくAの姿に、ショッピは満足げだ。
shp「ええ、”まだ”そうじゃないですね」
絡まれた時の不機嫌さはなくなり、ニコニコと一気にショッピは上機嫌になった。
串焼きを食べ終えた後、ベンチに座ったままAは気になっていることを尋ねた。
『ショッピくんはさ……私のどこが好きになったの？』
横でショッピが目を丸くしている。だがこれはAがずっと聞きたかったことだ。
なにも言わないショッピに、Aはベンチに座ったまま足を伸ばしてつま先を立てる。
『私はショッピくんのちょっと強引なところとか、引っ張ってくれるみたいで好き。さっきも助けてくれたし……』
shp「Aさん」
ショッピはAの頬へ手を伸ばして、顔を近づけた。
shp「……いいっすか？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 705人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
セネリオ - めっちゃ良き！！sypくんのSっ気が萌える…！これからも応援してます！ (2022年12月27日 10時) (
レス) @page30 id: bb7bb5003e (このIDを非表示/違反報告)
さーたん(プロフ) - syoくんの台詞に心が惹かれました！！！！！ これからも更新よろしくお願いしますm(__)m (2022年6月24日 2時) (レス) @page13 id: 3978148763 (このIDを非表示/違反報告)
える＠脅威推し - shpくんのセリフがぁぁぁぁぁぁ！！！！！かっこいいいいいいいい！！！！ (2022年6月23日 14時) (レス) @page13 id: e5ffed06b8 (このIDを非表示/違反報告)
える＠脅威推し - knさん本当に男装女子に気づかずセクハラしてそう(((( （偏見） (2022年6月22日 11時) (レス) @page12 id: e5ffed06b8 (このIDを非表示/違反報告)
える＠脅威推し - 続編おめでとうございます！！ (2022年6月15日 20時) (レス) @page7 id: 9a21cb3d54 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：REO | 作成日時：2022年6月7日 9時
