第十九話 ページ22
博の兄がにっこりと微笑んだ。胡散臭いほど爽やかな笑顔だ。
「博のことを、おそらく君は博愛で親切な──ちょっと変わったいいやつだと思っているだろう？」
……思っては、いるが。だがそれがいったいなんだと言うのだろう。博が“そう”であるのは事実だろう。
. 、、、、、、、、、、、、、
「その認識が間違ってるんだよ」
「は？」
「博は決して博愛じゃないし、そんな親切なやつでもない。傲慢で、勝手なやつだ。まあボクはそういう博が好きだけど」
もがく。網から抜け出せそうにない。
「そもそも博が博愛なら、友達とそうでないやつの区別をつけるものか。確かに博は愛せる範囲が過剰なほど広いし、誰かのためになることをためらいなくできるやつだ。けどね、博は別に聖人じゃない。がっかりする前に──愛月博から離れた方がいい」
「っ、そんなことを言われる筋合いはない」
「ははっ」
博の兄が乾いた笑いを浮かべた。その唇がさらに何かを述べようと開かれたその時──
「兄さん」
博の声がした。
「あ、博」
「僕の友人にちょっかいをかけるのはやめてくれ。兄さんは気に入った相手には昔から意地悪だな」
立てるか？と博が網をポケットから出した折り畳み式の鋏で切り、俺に手を伸ばした。その手を掴もうと伸ばし、一瞬動きを止めて、やっぱり掴んだ。
引っ張られ、立ち上がる。
「兄さん、兄さんのノリについていける人は多くないぞ」
「ボクはいつでも真面目だけどね。まあいいよ。それよりも博、元気だったかい？」
「僕は元気だ。兄さんこそ、元気そうで何より」
博に手を取られたまま、俺は目の前の二人を見つめる。瓜二つだが、やはり雰囲気が違う。博の目を穏やかな晴天とするなら、博の兄の目は油断したら飲み込まれそうな海だ。
「焦凍、逆鱗に銃を打ち込まれるようなことは言われなかったか？」
「……いや、大丈夫だ」
「そうか、よかった。すまない、兄さんは気に入った相手の感情の揺らぎを見ることが趣味なんだ」
ラッキーアイテム
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紅葉蓮(プロフ) - 雨瀬さん» そうです！！わかってくださり嬉しいです！！更新、できるだけ頑張ります！ (2018年7月20日 17時) (
レス) id: e2cb5510b9 (このIDを非表示/違反報告)
雨瀬(プロフ) - これは、もしかしてもしかしてですが、双頭院学くんがモデルですかね！？すごく面白いです！更新頑張ってください！！！！！！ (2018年7月18日 3時) (レス) id: 95804e6d35 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉蓮(プロフ) - 紅葉さん» ありがとうございます！そう言ってもらえるとめっちゃ嬉しいです！最近はリアルの都合であまり更新できていませんが、来週か再来週には更新ができるようになるので、お待ちいただければ幸いです。 (2018年5月19日 21時) (レス) id: e2cb5510b9 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - な、なんだコレぇぇぇぇぇ？？！！めっちゃ めっちゃ めーーっちゃ面白いです！更新、楽しみです！ (2018年4月17日 23時) (レス) id: cfdb26c000 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉蓮＊文才ほしい(プロフ) - なーさん» ありがとうございます、できるだけ頑張ります！ (2018年4月10日 13時) (携帯から) (レス) id: 5fe719242e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅葉蓮 | 作成日時：2017年7月16日 8時
