神は我が力なり【d!】 (ページ8)

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縁ページ8

「Aちゃん、あんた一体何者なん？」

そう問いかけても、目の前の彼女は不思議そうに首を傾げるばかり。

「まあええか、兎に角今からAちゃんは俺と一緒にジュデッカまで戻る訳やけど…うぅん……。」

彼女はどこからどう見ても人間。下級の悪魔に負けるつもりは更々ないが、同じ上級ともなればまあまあ分が悪い。
実戦経験でいえばチーノは上級悪魔の中で1番の新人である。

絶対、全員欲しがるよなぁ、コレ。
特に蒼の彼、アスモデウスは特に。

「いや鬱先生ならワンチャン…？う゛う゛ん゛…」

遂にチーノは頭を抱え、蹲ってしまった。

「幻術掛けてもなぁ、どうせすぐ見破られるし…かといって此の儘連れてくのも…」

何やらブツブツと独り言を吐くチーノに、Aは若干引き気味であるがチーノはチーノでAが他の悪魔に取って食われやしないか頭を悩ませていた。何しろ悪魔と言うのは欲に忠実で、遠慮や配慮と言う概念を知らないのだ。

「身内なら或いは＿＿＿＿

そうや、妹や！」

刹那、チーノは勢いよく立ち上がりAを指刺した。

「いやぁ、そうやそうや。俺の妹なら先輩方も手荒な事は出来んやろ、多分。」

チーノは満足気に頷きながら、徐にポケットからナイフを取りだしギラつく刃を己の指に滑らせた。

「…え、っ！」

紅が滴るその指を、思わず驚嘆の声を上げたAの口の中に躊躇わずに突っ込む。

「ぉ゛え、」

「あかんよ〜…ええ子やから飲み込んで、なぁ、！」

「う、」

生理的な吐き気と圧迫感に思わずAが嘔吐くが、更にチーノは奥へ奥へと指を進める。
目に涙を浮かべ、Aの白い喉が空気を求め思わずその血を飲み込んだのを確認しやっとチーノはAを解放した。

「これで"血の繋がり"が出来たなあ。」

Aの唾液で濡れた自らの指を舐め取り、満足そうな笑みを浮かべる。
その瞬間、仄かに身体が熱を持ち、爛々と輝き始めた。

「うん、ええ色になったね。俺とおそろい。」

涙を浮かべるAの目尻を優しく拭いながら、チーノは顔を覗き込んだ。
チーノの眼に反射するAの瞳は先ほどまで綺麗なヘタマイトだった筈なのに今やチーノと寸分違わぬ橙であった。

「あれ、なん…で、」

「おっと、魔力酔いした？
んふ、かわええなぁ俺の妹は。」

くらりと倒れ込むAを受け止め、チーノは隠していた翼を顕現させた。

「これで、やっと…。」