神は我が力なり【d!】 (ページ3)

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貧欲のデーモンページ3

少しばかりの期待と不安をいり混ぜたヘタマイトの瞳と目が合う。
恐らく彼女は"人間"だ、しかも生きている。
この森では自ら命を絶った人間達が樹木にされ、ハルピュイアと言う頭が人間の女で下半身が鳥の醜い化け物に啄まれると言う罰を受けている。
そんな森に、生身の女の子がひとり。

「どうやってここに来たん、ハデスのとっから抜け出してきた？」

ペルセポネの前例もあることやし、あのおっさんがこの娘をどっかからかっ攫ってきた可能性も無くはない。けど、見たところこの娘には何か特別な力がある様には感じられない。
…まぁ、何かしらの加護は着いてる様やけど、特段気にするようなもんでも無さそう。敬虔なキリスト信者か？

「わかりません、気が付いたらここに。」

体が痛くて起き上がれないんです、と俯く彼女。一見その四肢には傷一つ無いように見えるが、眼に少しばかり魔力を通すと一目瞭然。おどろおどろしいほどの鎖の跡、跡、跡。所謂"所有印"ってやつ。

「この傷跡……天使？」

天使は無垢な存在にしか加護を齎さない。穢れを知らないその魂は極上。
悪魔にとっての大好物。

「今この瞬間からのあんたの身の安全と生活は俺が保証するわ、その代わり＿＿＿＿

あんたの魂、俺にちょーだい。」

そんなん手に入れたいに決まってるやん。

唐突な俺の提案に、鳩が豆鉄砲喰らったみたいな顔で首を傾げる彼女。

「まぁ、細かい事は気にせんと。

これから仲良くしようなぁ？」

この手を取ったら、契約完了。