神は我が力なり【d!】 (ページ13)

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アエシュマ・デーヴァページ13

ut side

タアタの町外れの洞窟。忌々しい場所であり、彼女と自分だけの思い出の場所。

やっとや、やっと見つけた。

洞窟に着くや否や、歓喜でニヤけが止まらなかった。

大昔、嘗て自分が天使だなんて呼ばれていた頃の話だ。
自分が熾天使セラフィムの司令官をしていた頃、彼女は僕の憧れだった。
周りにはいつも鬱陶しい奴がいて、近づけやしなかったけど。

忘れもしない、あれはソロモン王を失墜させようとした時、彼女は此処、タアタの洞窟に僕を閉じ込めた。
大天使ガブリエル、その名に相応しく。

清く正しく、品行方正な神の愛し子。主だけ見つめてる様なAちゃん。
そんな彼女の目に僕が、僕だけが映ったから。

「んふ、はは…」

今でもあの高揚は忘れない、僕だけを見て、僕だけのことを考えて、僕だけをその目に映したんや。
もう逢えないと思っていた。自分は堕天し、サタンに使える身になったから。

でも彼女も堕ちてきたのだ。此処の世界に。

どうやら天使(アイツ)の加護がかかっとる様やけど其れは大した問題では無い、問題は＿＿＿＿

「チーノ、彼奴契りよったな。」

僕の可愛くて憎らしいAちゃん、あの娘に恐らく血を飲ませている。Aちゃんを知らない他の奴らは、恐らくチーノの血縁、若しくは元人間の眷属だと誤認するだろう。
どうやら天界のお偉い方は、Aを人間だと錯覚させるように小細工しているみたいだが、相変わらず頭の硬いやつらの考えることは理解できない。

「面倒くさい事してくれるやん、ほんま。」

何にも染まらないあの漆黒の瞳が好きだったのに、忌々しい橙。
しかしまぁ、見つけ出してきたことだけは感謝しよう、焦る程の事じゃない。

「やっと見つけた、僕の運命。」

今度こそ2人だけの逃避行を。
また再び、その瞳に僕だけが映るように。