神は我が力なり【d!】 (ページ11)

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堕天使ページ11

「宜しければ、私達について少しばかり説明をさせてください。」

そう言いエーミールは何処からとも無く巨大な羊皮紙と羽根ペンを取り出し空中に浮かべた。

「まず今私達が居るのはここ、ジュデッカです。こちらは地獄の中の最下層と言われていますが実はもう1層下があります。」

そこに我々のトップがいらっしゃるんですよ、とサタンと言う文字にくるくると羽根ペンで丸を描く。

「基本的に私達悪魔が居るのは、地獄を超えた下層です。外側からカイーナ、アンテノーラ、トロメーア、そしてジュデッカ。それらが円状にして魔界を統べるもの、サタンを囲っているとお考え下さい。」

悪魔を統べる悪魔、どんな恐ろしい物だろうとAは思わず身震いする。

「ここジュデッカに居るのは基本的に上級悪魔のみ。その他の悪魔は全て万魔殿という場所に住んでいますが治安は宜しくないので行かれる際はチーノさんかその他の上級悪魔と行かれる方がよろしいかと。」

もちろん私でも大歓迎ですよ、とAに笑みを向けるエーミールとAをそんなとこ行かせるわけないやろ、と心底嫌そうな顔をするチーノ。

「話を戻します。ここにはサタンを筆頭に、私やチーノさん、その他4名の悪魔がいらっしゃいます。」

「ほんまはAを他の先輩方に合わせたくないけど、今みたいに出くわす可能性もあるからなぁ…。後で挨拶行こな。」

お兄ちゃんは心配やぁ、ときつくAを抱きしめるチーノと、顎に手を当てじっとAを見つめるエーミール。

「何やエミさん、んなA見んといて貰ってええですか。」

「横暴」

ガルガルと威嚇するチーノを横目に、困った様に眉を下げるエーミールを見遣るとパチリと目が合った。

「実は私、元天使なんです。」

「え、」

えぇ！そうなん！と今日1番の驚きを見せるチーノ。これはチーノにとっても初見だった様だ。
チーノに無くてエーミールにあるこの妙な柔らかさはそこから来ているのだろうか。

「Aさん、貴方には何か近しいものを感じます。」

「適当抜かさんとって下さい。AはAで、俺の妹や。」

それ以上でも以下でもあらへん、と不遜な態度でエーミールを睨みつけるチーノ。

「あくまで私の主観です、気になさらないでください。」

舌打ちを1つエーミールに零しAを抱えるようにして飛び上がるチーノ。

「おやもう行かれるのですか。またお会いしましょう。」

にこやかにエーミールが手を振るのを最後に視界は闇に包まれた。