神は我が力なり【d!】 (ページ1)

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プレゲトン川の畔にてページ1

ｷﾞｨｷﾞｨと耳障りな音で目を覚ました。土と植物の青臭い香りが鼻腔を擽り、ここが森であると知覚する。
何処からか水の流れる音もするので、どうやら近くに川もあるようだ。

「…！」

寝転んで居ても二進も三進もいかないので起き上がろうと地面に手を着くが、全身が殴られた様に痛くて無様にもへたりこんでしまう。

涙を堪えながら辺りを見回すと、まるで項垂れた人間の様な木々が鬱蒼とお生い茂っており、寒くは無いのにその不気味さに身震いする。

バザバサと翼を鳴らし、木から木へ大きな鳥が移動している。ここが何処なのかさっぱりわからなくて、体の痛みで動ける気もしなくて堪えた涙が溢れ出てきた。

『お、誰かおるやん。』

突然濃い霧の向こうから男が現れた。
まるでノイズのようで聞き取れないが何か呟きながら瓶の底をくり抜いたような眼鏡を掛けたが顔を覗き込んでくる。

『何処からきたん？名前は？迷子なん？』

何を言っているのか到底理解出来ないが、矢継ぎ早に質問されている様にも思える。

『怯えてんのかな、怖ないで〜、

な？』

にこにこと笑いながら手を振り、まるで敵意が無いことをアピールしている様だが如何せん言葉と言うのは大切なもので、意思疎通ができない事に恐怖でポタポタと涙が地面を濡らす。

『あれぇ、泣いてもうた、どないしよ』

「ごめんなさい、貴方のせいじゃないんです。帰り方が分からなくて＿＿＿＿」

バツが悪そうに頬をかく男に、何だか申し訳なくて嘔吐きながらも謝罪を口にする。

『ん？もしかして…あー……』

「これで伝わるかな」

どうや、と少し不安をに滲ませた橙と、初めて目が合った。