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つぅ、と生温い何かが頬を掠める。それが己が血だと認識するのにコンマ5秒も必要無かった。
＿＿＿＿動揺している暇は無かった、何故なら既に眼前に鈍色に光る鋭利な刃が迫っていたから。
「…ｯ、ウツ!」
瞬時に頭を下げ、足元で意識を失っている半身を手繰り寄せる。こうしている間にもこちらに向けられた悪意は留まることを知らない。
どうする、と回らない頭で降魔を見遣ると磔にされたが如くピクリとも動かなかった。
「やられた…なぁショッピ？」
「情けないなァ…なぁチーノ？」
苦虫を噛み潰したような顔で奥を見つめる彼等と、スファレライトの瞳を真ん丸にして部屋の最奥を見つめるシャオロン。
「＿＿＿どういうつもりや、クソロボロ。」
「は、ザマないなぁお前ら。」
地を這う様な低い声で、ぎりりと歯軋りをした彼とは対称的な、ボールが跳ねるような軽快な声が鼓膜を震わす。
ロボロ、と呼ばれたその男の声と連動する様に降魔達の拘束も強くなったようだ。
「お嬢さん方には恨みはないんやけど…すまんなぁ。」
ビビットピンクの瞳が床に転がるウツを射止める。やめて、彼だけは＿＿＿＿
「そこに寝っ転がってるあんさんから行かせてもらうわ。」
「やめて！！！！！！」
鈍く光るナイフがウツに突き刺さるその瞬間、昔見た夢が何故か走馬灯のように流れ出た。
＿＿＿＿相手を従えるのに何が必要だ？
夢の中の男は、錦糸の様な金髪を温い風に靡かせながらこう問いた。
＿＿＿＿魔力…とか知識とか…。
突拍子も無いこと言うなぁとじとりと湿度の高い眼差しで彼を見つめる。
＿＿＿＿若いな、今は未だ其れで良い。
くつくつと笑いながら頭をぐしゃぐしゃと撫でる彼、夢の中に居るのに妙に現実味のある…そんな薄気味悪い感覚。
＿＿＿＿恐怖だ、まァ殺意と呼んでもいいだろう。
とん、と白く長い指で心臓の辺りをつつかれる。
＿＿＿＿相手をコントロールしているのは此方だと、そう思わせるんだ。君にはきっと其れが出来る。
そうだ、彼はそう言っていた。
『努努忘れるな、お前の心臓はもうこの手にあるんだぞ。』
と。
そう口にした途端カラン、と金属が床に落ちる音と、ロボロが地に伏せるのは殆ど同時だった。
まるで水中から外に放り出された魚のようにバタバタと藻掻く彼と、慌てた様に飛び込んでくるエーミール。
床に落ちた自分後に反射する瞳は、どうしてか
続く
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まる(プロフ) - 設定の段階で細かく分かりやすく纏められた壮大な世界観から、夢主たちの不安などが丁寧に描写されていて、早く次のお話が読みたいです…! 更新、楽しみに待っています。 (10月6日 7時) (
レス) @page7 id: dba6e6f19e (このIDを非表示/違反報告)
ロア……のスマホ版のようだ - これは期待大！これからの最新が楽しみです。頑張ってください！ (10月3日 22時) (レス) @page4 id: 4dffd0e6b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とて。 | 作成日時：2023年10月3日 11時
