1-6 ページ6
「ぉ、おい大丈夫か「ウツ？！」…」
やっと、やっとだ。漸くAが僕を見てくれた。
シャオロンの手を払い除け、駆け寄ってきたAに縋り付く、Aの、僕の片割れに触れている時だけ生きるのを許される。
だって僕は＿＿
「おやおや〜？随分と無様なご主人様じゃないすか、なぁチーノ？」
「何言うてんねん、シャオさんにお似合いのええご主人様やろうが。そうやろショッピ？」
耳を劈く煩わしい雑音、こいつらが僕からAを奪った降魔。
降魔は基本的に召喚者の言う事しか聞かない。召喚者が命尽きるその瞬間まで自らの命を賭すことに愉悦を感じる奴等。
「…はっ、お前ら何か秒で契約解除させたんねん。」
しかし、最高位魔術師であれば他者の降魔との契約を強制的に解除する事も出来る。僕とAの世界に
「俺らのご主人がお前に守れる訳無いやろ、巫山戯んのも大概にせぇよ。」
「ご主人は俺らと"3人"で生きてくんですー
…だからお前は要らんのや。」
ぞわりと肌が粟立つ。全身に冷水を浴びせられた様な、気温が一気に下がった感覚がして、本能がこれ以上は危険だと警鐘を鳴らす。しかし一度回り出した舌は止まらない。そして何より、出会って数分のコイツらに片割れを、Aの事を知った様な口聞かれるのが腸が煮えくり返る様だった。
「黙って聞いてりゃ随分な言いようしてくれるやんか。」
ゆらり、シャオロンが徐に立ち上がった。怒りなのか、殺気に当てられて興奮したのか瞳孔をかっ開いてその雌黄を爛々と輝かせていた。
「来いよ三下、相手したるわ。」
「老害はそろそろ引退して下さい、せやろチーノ？」
「良い老魔ホーム紹介しますよシャオロンさん、やんぞショッピ」
ホール全体が息を飲む音がする。不安そうに瞳を揺らすAの目を手で覆い一人思案する。
ここでコイツらがやり合って3人共倒れしてくれれば万々歳。僕の世界にはAだけでええし、Aの世界には僕だけでええ。そうしてまたAと僕だけで何にも干渉されずに生きてくんや。
そう思った矢先＿＿＿
「はい、元気なのは大変宜しいですがそこまでにしておきましょうか。」
何百、何千の蝶が視界を埋め尽くす。その羽が体に触れた瞬間意識が強制的に暗闇に引っ張られていく。
最後に見えたミルクティー色の髪の男、全くどうしてこうも邪魔が入るんだろう。
僕はただ、Aと二人でいたいだけなのに。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 270人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まる(プロフ) - 設定の段階で細かく分かりやすく纏められた壮大な世界観から、夢主たちの不安などが丁寧に描写されていて、早く次のお話が読みたいです…! 更新、楽しみに待っています。 (10月6日 7時) (
レス) @page7 id: dba6e6f19e (このIDを非表示/違反報告)
ロア……のスマホ版のようだ - これは期待大！これからの最新が楽しみです。頑張ってください！ (10月3日 22時) (レス) @page4 id: 4dffd0e6b1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：とて。 | 作成日時：2023年10月3日 11時
