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肩に掛かる心地よい重さで目が覚める。
長めの紺青の前髪から見え隠れする瞼は、可哀想に泣き腫らして赤くなっていた。
パトリア魔法科学専門学校、共生区に住む魔力持ちの子は12の歳になると全員この学校に集められる。全寮制であり、6年間を各寮に別れて生活するこのシステムは、この世に産まれ落ちた瞬間から片時も離れたことの無い自分達にとって半身を奪う様な、身を引き裂く様な物だった。
Aと離れるなら行かへん、ずっと一緒におるって決めたんや。そう私の手を握り目に涙を浮かべ首を横に振り続ける彼に、きっと一緒の寮になるわと、両親はぼんやりとした慰めをかけ続けるしか無かった。
僕はAがおらんと息ができんのに。泣き疲れて眠りに落ちるその瞬間まで彼は、ウツはその手を離すことが無かった。
ガタガタと揺れ続ける馬車の車窓から外を眺める。もうすっかり日は暮れて、静寂と真っ黒のペンキを撒いたような空だけが世界を包んでいる。学校から案内状が届いたその後、二進も三進も理解出来ないままに両親に馬車に乗せられ、学校へ向かっている。眼前の両親に恨みがましい視線を向けても、困った様に眉を下げられるだけだった。彼らはきっと一緒の寮になると言うが、それは無いだろう。常に手を離さない自分達を彼等が心配しているのは知っているし、その心配が嫌悪でも侮蔑でも無く良心から来るものだとも分かっている。きっと彼等は、自分達が独り立ち出来るように、学校に何らかの圧を掛けているだろう。
我儘だとは理解している、12にもなって兄弟離れ出来ていないのかと笑われても良い。それでも尚、自分の心臓を取られた様に苦しかった。
自分の横にウツが居ないのが理解できないし、怖い。あなたが居ないと歩き方も、息の仕方も分からないのに。
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まる(プロフ) - 設定の段階で細かく分かりやすく纏められた壮大な世界観から、夢主たちの不安などが丁寧に描写されていて、早く次のお話が読みたいです…! 更新、楽しみに待っています。 (10月6日 7時) (
レス) @page7 id: dba6e6f19e (このIDを非表示/違反報告)
ロア……のスマホ版のようだ - これは期待大！これからの最新が楽しみです。頑張ってください！ (10月3日 22時) (レス) @page4 id: 4dffd0e6b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とて。 | 作成日時：2023年10月3日 11時
