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Side Yugo





「御家族はこちらでお待ち下さいね。」



見覚えのある看護師さんに安心するような笑顔でそう、声を掛けられる。



先に連絡はしておいたから、スムーズに病院に入れた。


「どうしたんだろ、急に…」

「昨日体調悪そうだったっけ?」

「いや、そんなことないはずだけど…」


なんだか確信が持てないのは最近、
忙しくてしっかり2人の体調を見れていないから。


有難いことに、パン屋の雑誌やテレビの取材、
SNSを通しての宣伝、地方への販売。


ここ2ヶ月は本当に忙しい日々を送っていた。


北斗が最近どんな様子だったか、
昨日、顔色はどんな感じだったか。

そんなことを聞いて自信を持って答えられない。







大我も何も言わないけど、
多分、同じことを思っているはずだ。



後悔が心の中に渦巻き、
ぼーっと、してしまっていると大我の携帯が鳴る。


「…あ、樹?うん、さっき病院着いた。うん、そうだね。またなんかあったら電話するから、」

心配していた樹からの電話だろう。

「樹、大丈夫そう?」

「うーん、まぁとりあえずは。俺のこと呼びにきた時も焦ってはいたけど…」



双子の体は一心同体。

片方が体調を崩せば、それを追うように悪くなるから、気をつけなくてはいけなかったんだけど。


久しぶりに夜間の救急に運ぶ事態になってしまった…


「優吾、大我。」

「あ、先生!」



処置室、と赤く光っていた部屋の電気が消えて、
そこから樹と北斗、2人が「ふっか」と呼び、お世話になっている深澤先生が出てきた。



「北斗は?」

「うん、とりあえず落ち着いたよ。」

「どうして…」


誰に言う訳でもなく、俺は息を吐くように呟く。


「…なんかあったんじゃないのか?」
「この前の通院日はこんな数値悪くなかったぞ。」


いつもふざけてるけど、
優しくて、安心させてくれる先生の声じゃない。


「ちゃんと話さないと。わかってんだろ。」



その言葉が俺ら2人に強く、重く、のしかかった。










「…バレたのかな?」

「…かもな。」


病院に来た時から時間はとても経っていた。
電気のついていない病室に陽の光が入ってきている。




あの事がバレた。
…多分あの事だ。


大我には伝わること。


北斗と樹と、慎太郎、ジェシーには伝わらないこと。

・→←「each other」2



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Moku(プロフ) - さかたさん» DMの方は、Mokuの設定のせいでした。すみません!設定変えたので、おそらく送れると思います。もしまた何かありましたらDMの方でぜひ送ってください!お手数かけました。 (2020年8月2日 9時) (レス) id: 6e7b6bb8a7 (このIDを非表示/違反報告)
Moku(プロフ) - さかたさん» リクエストありがとうございます!とても嬉しいです。時間がかかると思いますが、気長に待ってくださると有り難いです。これからもよろしくお願いします! (2020年8月2日 9時) (レス) id: 6e7b6bb8a7 (このIDを非表示/違反報告)
さかた(プロフ) - すみません!Twitterの方dm?が上手くいかなくてリクエストが出来ずこちらでよろしいでしょうか?HEROの続きが見たいです。きょもと樹の医者と患者のシーンも見たいです。Mokuさんの書く物語が大好きで毎回楽しみにしています。自分のペースで頑張って下さい! (2020年8月2日 0時) (レス) id: 091f447974 (このIDを非表示/違反報告)
Moku(プロフ) - ゆなさん» こんばんわ!わざわざコメントありがとうございます!Twitterの方、先ほど承認させていただきました。こちらこそよろしくお願いします。 (2020年7月8日 0時) (レス) id: 6e7b6bb8a7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな(プロフ) - こんばんわ。一気に読ませて頂きました。どれも好きです。先ほど、フォローの申請させて頂きました。よろしくお願いします。 (2020年7月7日 22時) (レス) id: 1e3e43fc2a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Moku | 作成日時:2020年6月19日 17時

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