俺らまだ原石 garnet 【1】 (ページ9)

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Side Juri

「あ、慎太郎ー。」

同い年ではあるが、
１つ下の学年に通っている慎太郎と廊下ですれ違う。

「あ、樹。なんか久しぶりだね。」

久しぶりに会ったためか、
話が盛り上がる。
そういえば話したのは2週間ぶりくらいだった。

「いや、なんかさ…」

他愛もない話を互いに話す。
近況報告、と言ったところだ。

5分ほど立ち話をして、

じゃあな、と言って別の方向に歩き出そうとすると、慎太郎がまた声をかけてきた。

「…あ、樹。俺また、手術することになった。来年も2年だわ。」

「いつ入院すんの？」

「え？明日。」

今度こそじゃ、っと慎太郎に言われる。
ふふっと、笑いながら言われたその言葉は、
さらっと受け流せる内容ではない。

慎太郎の言葉にぼーっとしてしまった俺に見向きもせず、また、自分より1つ下の
仲間の輪の中に戻っていった。

慎太郎は、俺の入院時代からの幼馴染であり、親友であり、病気を共に戦った戦友でもある。

とはいえ、俺はもう手術を終えて、
お先に退院しているんだ。1ヶ月に1回の通院に、
運動制限は少しあるが、日常生活も、
全く支障がない。

慎太郎の体調、また良くないのかな。
側から見れば、病気には見えないくらい、笑っている彼を見て思う。

「おい、樹ー。時間やべぇぞー。」

「あ、今行く！」

そんなことを考えていると、
もう授業が始まる時間が近づいていて、
俺は、急いで教室に向かった。