俺らまだ原石 garnet 【1】 (ページ39)

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Side Taiga

昔この家に仮期間として来た頃に聞いたことがある。

2人が知り合ったのは養護施設であって、
18歳のちょうど施設を出る頃に同棲を始めたこと。

「…私たちも親に育てられたことない。
すっかり自信がなくなっちゃったの。」
「自分もまた私の親のように、余計なことを言ってしまうんじゃないかって。」

酷く辛そうな声が聞こえてきた。

やっぱり俺は2人のこと、勘違いしていたみたいだ。

「…そうだったんだ。
俺もしっかり話さなくて、ごめんなさい。」

「…すぐに、お母さん、お父さんって言えるかわからないけど…けど、2人のこと、俺、『家族』だと思ってるから。」

「…ありがとうっ。」

電話越しで涙を含んだ声が聞こえて来る。

本当にいい人なんだと思う。

そんなことわかってたけど、
でも自分で確かめて確信を持った気がする。

俺も、一歩進むんだ。

「…それでひとつお願いがあって…」

両親にお願いなんて、
初めてかもしれない。

「…ふふっ、なに？大我。」

「明日、帰って来ることはできなくても、
ジェシーの誕生日、祝ってほしい。」

「…あたりまえよ。ごめんね。明日はどうしても帰れなくて。来週は時間あるからその時に私がとっておきのpartyをするわ。ジェシーの好きなもの、全部私が作っちゃう！」

どこかジェシーのような…いやジェシーが似たんだ。

この会話の途中に
たまに英語が出て来るところ。

それに、このノリが軽いところは慎太郎が似た。

「じゃあ、明日電話するね。」

「うん、待ってる。」

「じゃ、また明日。」

「あ、大我。」

「なに…？」

「ありがとう。帰ったらまたゆっくり話そうね。」

「うん、ありがとう、ーー母さん。」

どこか素直になれないところは俺が。

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昨日、勇気を出して、電話をして本当よかった。