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Side Yugo
準備、というのはお店のだ。
俺ら6人で、ケーキ屋さんをしている。
母さんが残してくれた、大切なお店だ。
“男6人だけで、ケーキ屋さん”
それが珍しいこともあるのか、この大きな家に住んで、ケーキの材料費や、樹たちの治療費も、それぞれの趣味も、問題なく払えるほど繁盛している。
それに、味にも自信がある。
「今日限定ケーキなんだっけ？」
「えっとねぇ…」
慎太郎と大我の会話が聞こえてきた。
大我は主にケーキのデザインをしてくれている。
幼い頃にみんなで母さんの手伝いをしていたけど、
大我は昔から料理全般できなくて。
それでいじけていた大我だけど、たまたま書いていた大我のケーキの絵がすごく美味しそうで、
「いいじゃない！
大我が書いたやつ、商品化しよう！」
母さんがそう言って、それから大我は
うちの店のデザイン担当ということだ。
「兄ちゃん、そろそろ2人起こす？」
「そうだな。」
俺らの家は余るほど部屋があるが、
2人が同じ部屋がいい、と言ったので、
2人は未だに2人部屋だ。
また一緒に寝てる。
大きいベッドだからいいけれど…
「起きろー、時間だぞー。」
静かに部屋に入って呼吸の状態を確認して、大丈夫そうだったら、なるべく大きな声でかけるけれど、
いつもこの声で起きるのは北斗だけ。
「…おはよ。」
「おはよ。苦しくない？」
そう言いながら、
簡易の酸素濃度を測るものを指につける。
「大丈夫。」
数値もばっちり。元気そうだ。
「じゃあ、樹起こすのよろしくね。」
体調が良い時は、
北斗に双子の兄の目覚ましを頼む。
「兄ちゃんが起こせるようになんないとさ…起こすけど…」
少し文句を言われてるが気にしない。
樹を起こせるのは北斗だけだ。
樹の体調によって起こし方が変わるらしい。
「北斗優しい時と、酷い時の起こし方があるんだよ！ほぼ毎日酷い時だけどさ！」と文句をたらしていた。
「お前が悪い！」と北斗から言われてたけれど。
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作者名：Moku | 作成日時：2020年5月23日 8時
