俺らまだ原石 garnet 【1】 (ページ13)

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NO side

隣の病室から、
物音が聞こえなくなって2、3日。

隣の病室の彼は、慎太郎と同じ、
心臓の病気だったらしい。

ただ、その病気にも細かい種類があるようで、
隣の彼は慎太郎より、難しい状態だったらしい。

それでも、慎太郎の心に負担になったのはたしかだ。

同じ病気を持つ、
それも同い年の男の子が。

少し前まで話していた男の子が。

すぐ隣の病室の男の子が。

病室が夕陽に照らされている中、
慎太郎は、ノートに何かを書く。
書き終えると同時に、様子がおかしくなる。

ーーﾊﾞﾝﾊﾞﾝｶﾞﾗｶﾞﾗｯ

彼の棚に置いてある、
沢山の教材を、全て落としていた。

そうだ。
隣の病室の彼は病気を持ちながらも
夢を、希望を、抱いていた。

慎太郎だってそうだった。
生きることを諦めてはいなかった。

「学校の先生になりたい。」
その夢があるからこそ、頑張ってきたのに。

でも、隣の彼がいなくなったことで、
急に現実を見せつけられたような、そんな気持ちになってしまったんだろう。

呼吸が怪しくなってくる。

「ﾊｧｯﾊｧｯ、げほげほっん、ﾊｧｯ」

様子がおかしい慎太郎の病室に看護師が
慌ただしく入ってくる。

「慎太郎くん、慎太郎くん。今先生呼んだからね。」

「げほっﾊｧｯﾊｧｯﾊｧｯﾊｧｯっげほっ」

どんなに看護師が
声をかけても、反応はない。

物が散乱した部屋で、
慎太郎の苦しそうな
呼吸と咳がなり続けた。