主と不在 2 ページ8
主殿が長期不在を取ると言った。
定期試験があるため、勉学に集中しなければならないらしい。
主殿は自分に自信がないのだろうか。
たまに、どこか不安そうな表情を見る。
それでも、この場所で多くの刀に囲まれている時は、いつもそれを隠していた。
「あんたも、後悔だけはしないでくれ」
俺が思った事をそう口にすると、主殿は小さく微笑みを見せてくれた。
「ありがとう、骨喰君。頑張ってみるよ」
こんな内容でいいのか?
そう尋ねると、あんたは頷いた。
「自分が見失わなくなるよ」と。
「自分も出来る限りの努力をしてみる」と。
兄弟と違って、俺は上手く話したい事を表現出来ない。
だけど、主殿に助言が出来たなら、素直に嬉しかった。
「君のお陰で元気でたよ」
「……そうか。それなら……良かった」
「それじゃ、そろそろ時間だから現世に戻るね。
今日はありがとう、骨喰君」
「ああ、健闘を祈っている」
倒れた時の借りもある。
何より、主殿は笑っている姿の方がよっぽど似合っていると思う。
今日は、良い日だな＿＿＿＿
俺はすっかり冷め切った茶をすすった。
♯♯♯
日も沈み始めた頃。
テストが終わり、足取りも軽くなった私が真っ先に向かったのは。
「ただいま、骨喰君」
助言をくれた彼の元だ。
「……ああ、帰ってきたのか。
結果はどうだったんだ?」
「うん、点数が前回よりずっと良くなったし、学年順位も自己ベスト更新!」
配布された結果表を開く。
苦手な理科の点数が跳ねるように上昇、自分でもびっくりしている。
「骨喰君の言う通りだよ。
後悔したくないなって思ったらこれだもん。
本当にありがとう……!」
「そんな事はない、あんたの実力が結果に繋がったんだろう」
「でも」と言い返そうとした口を骨喰君が阻止する。
彼の細くて綺麗な指先が私の口元に当てられる。
「あんたはもう少し自分に自信を持った方がいい」
「……そ、そう?」
ボッと赤くなる頬を隠した。
こんなに骨喰君と至近距離で話した事なかった気がする。
彼も照れているようで、恐らく私以上に顔が真っ赤だ。
「……でも、あんたにそう言って貰えて、俺は……嬉しい」
「こちらこそ、いつもありがとうね」
その後、お互い真っ赤状態の私達を見た短刀の子達が「2人して熱!?」と騒いでいたり。
・
更新毎度遅くてすみません!
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ぬくまゆ(プロフ) - とても暖かくてほのぼのしくて、それでいて少し切なさを感じる素晴らしい作品でした。無表情で口数の少ない彼が徐々に心を開いていく姿は何度見ても尊いです。ありがとうございます。 (2021年5月4日 5時) (
レス) id: 91ace1ad24 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 骨喰、世界一愛してるぜ！(突然の告白) (2019年6月23日 21時) (携帯から) (レス) id: d29be5eacf (このIDを非表示/違反報告)
黒音_幻月(プロフ) - 白器さん» ありがとうございます……! そう言って頂けて本当に嬉しいです……! (2018年11月11日 7時) (レス) id: af2f132298 (このIDを非表示/違反報告)
白器(プロフ) - 骨喰可愛い (2018年10月27日 17時) (レス) id: 606a83cb8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒音_幻月(元:鈴音雪奈) | 作成日時：2017年10月24日 23時
